春うららかな皇居前の芝生に「私は平和の使いです」と、テントを張ったヒゲだらけのフランス人があった。このアンドレ・フロンさん(39)は、二年前にパリを出て欧米各国を無銭旅行、あこがれの東京に着いたのだが、芝生立入りはならぬという丸の内署のお達しに些か不服顔だった。 皇居前にテントを張ったフロンさん。 昭和三十五年四月二十七日 第九五三号 日本写真新聞社