文化ニュース　科學版　Ｎｏ．３５７（３）　お正月をよそに風雪と闘う　乗鞍コロナ天文台

日本で唯一の特殊天文台として終戦後新設された乗鞍岳山頂のコロナ天文台は太陽の研究やその他の観測に特異な成果を収めつゝあるが、氷雪と寒風に閉じ込められた天文台の労苦は想像に絶するものがある。☆
☆台員達は下界の新春気分もよそに雪をとかした水と乏しい食料の中に下界からの便りを唯一の楽しみに研究と科学的使命の達成に沒頭している。（上）設備不足の中で防寒具に身をかため絶え間ない観測と記録が行われている。写真は望遠鏡をのぞく観測員。
（右）中央気象台や各地の天文台との無線連絡もこの天文台の大きな使命の一つである。写真は無精ひげにつゝまれ通報に余念のない無線通信士。
（右）雪と寒風の山頂は冬中氷におゝわれる。写真はお正月のお祝に国旗を掲げる台員。
（上）峻嶮な山頂への下界からの連絡は冬季は困難を極め、連絡の途絶えることもしばしばである。
第三百五十七號　昭和二十七年一月十四日發行
日本写真新聞通信社