写真ブンカニュース カガクバン ナンバー351 3 レンズニハンショクスルカビ
S1H1634027565
文化ニュース 科學版 No.351(3) レンズに繁殖するかび
内容
レンズやプリズム等の硝子製品にもかびが発生し細密を要する光学機械に大きな影響を与えている。このかびはカワキアオウカジと呼ばれお茶水女子大の大槻虎男博士の永年の研究によるもので着々全貌が明らかにされ、予防法が実行されつゝある。日本の様な高温多濕の地では殆んどの硝子がこの菌に侵されて侵されている。この菌が繁殖するとクエン酸や修酸等を分泌して侵蝕斑痕を残すのである。博士はこの研究によつて毎日学術奨励金をうけられた。
(左)レンズの上に発生したカワキアオカウジの成長しつゝある菌絲の拡大写真
(下左)菌絲の発生状況を透過光線で撮影したもの。
(下中)同場所を垂直照明で撮影したもの。菌の分泌物によつて侵蝕の溝が拡大しつつゝある。
(下右)菌を拂拭し垂直照明で撮影した斑痕像
(右上円)斑痕像を拡大したもの。(下)実験用光学機械を前に菌の発育状況を調査する大槻虎男博士(御茶の水女子大にて)
第三百五十一號 昭和二十六年十一月二十六日發行
日本写真新聞通信社
原文