空襲によってついに東京駅も焼失してしまった。駅前の海上ビルが焼けたときには素知らぬ顔で通り過ぎていた人々も3階立ての東京駅の焼失には無関心でいられない。懐かしい丸屋根が崩れ落ち、鉄骨ばかりが空にむなしく絡み合っている。この光景を眼にすると、都民の誰もかれもがポカッと胸に穴を開けられたようなさびしさにからまれたに違いない。