朝日ニュース第1007号
1.池田首相辞任を表明
かねてより国立がんセンターに入院中の池田首相は二十五日午後辞任の表明を行い、四年三ヶ月にわたる政権担当の重職から離れることになりました。
川島副総裁、三木幹事長ら自民党首脳は党機関中心の話し合いにより後継総裁を選出したい意向で、急きょ役員会、顧問会を開き、総裁退陣の了承を求めて、協議を重ねました。
予期しなかった池田首相の辞任で後継総裁をめぐる党内の思惑は複雑なものがあり、池田さんの望み通り話合いで円満に総裁が決まるかどうか、政局は新しい局面をむかえました。
2.ボンジュール『禅寺』
粋なこうもり傘を片手に羽田におりたフランスの柔道愛好家のグループ――。オリンピックを機会に柔道日本のエスプリをたっぷり味わってやろうと泊りは鎌倉の光明寺に決めました。一夜明けると、あこがれの建長寺にやって来て朝のおつとめを参観。早速畳に座って「禅」ととつくみました。柔道初段のパリジェンヌも神妙に脚を組んでいます。さてしびれた足をひきづって空手道場へ。一気にかわらを割る神技にびっくり、骨が折れやしないかときもをつぶしました。すいたおなかにはお待ちかねの天プラ。おはしのさばきがもどかしいが、日本の味はトレビアンです。とも角修行にはお座りが第一。露座の大仏さまを見習ってちゃんと開眼するまで、いつまでも座りつづけましょうと修行に励む一行です。
3.東京オリンピック終る
東京オリンピックもいよいよ大づめ。体操ではチェコのチャスラフスカがラチニナ(ソ連)をおさえて堂々優勝しました。日本のホープ遠藤は完ぺきといえる演技で初の個人総合優勝をかちとりました。
ボクシングバンタム級の桜井選手も金メダルの大殊勲をたてました。しかし柔道の無差別級で神永選手はついに強豪ヘーシンクにけさ固めで敗れました。
大会の花マラソンではエチオピアのアベベがローマ大会についで二度目の優勝。国立競技場に二位で入って来た円谷はピッタリマークしていたイギリスのヒートリーに抜かれたが、堂々三位に入賞。メインスタジアムに初めて日章旗を掲げました。
バレーボール(女子)。決勝戦に、必死にせまるソビエトをついにストレートでくだし、日本チームが優勝しました。うれし涙もはらわずに「魔女」たちは監督、コーチをつぎつぎに胴上げしました。
閉会式には予想外に多くの選手が参加しました。「世界は一つ」のよろこびを全身にみなぎらせて続く若人たちの行進を四年後のメキシコ大会に――。
Asahi news No.1007