新日本ニュース第258号
1.動乱の朝鮮 第二十一報 米通信撮影 ~南へ逃げる難民~
11月26日以降、共産軍の猛烈な反撃作戦の開始により、戦火に追われた難民たちは、続々と南方に避難している。ここ大同江でも、結氷の川を渡り南方への旅を続けている。「南への撤退は10万5.000人の部隊、9万1.000人の避難民を運び出すことだった」(マシュウ・B・リッジウェイ『朝鮮戦争』)
2.“餅代”でもめる職安(東京)
12月12日、渋谷の職業安定所では大勢の自由労務者たちがもち代を要求して波状的につめかけ、新宿区役所でも約100人が越年資金の支給など30項目を要求した。翌13日には、警官隊が出動する騒ぎとなった。
3.やけくそレスリング(パリ)フランスパテー特約 SEF提供
ルネ・ベン・シェムールとアンドレ・ショーボーの対戦で行われたプロレスリング ライト級戦は、リング外にけ落されたルネ・ベン・シェルームがリングの外から飛び込んでアンドレ・ショーボーを倒し勝った。
時の話題
4.人権宣言の日(栃木・東京)
12月10日は国際連合の世界人権宣言2周年記念日。東京神田の共立講堂では記念講演会が開かれ、今でも里子の風習が残る栃木県では、人権擁護委員らが視察を行った。
5.長岡半太郎博士逝く(東京)
物理学のほとんど全分野にわたって大きな業績を残してきた長岡半太郎博士は、12月11日午後5時、東京文京区西片町の自宅で脳いっ血のため死去し、84年の生涯を閉じた。晩年の博士は地震、氷河などで精力的な研究を続けていた。
6.海上保安訓練所開く(広島)
11月1日海上保安訓練所が呉市に設置され、マッカーサー元帥書簡に基づく海上保安庁の増強計画により、新たに採用された船艇科員に対し、緊急の要請に応じて、短期訓練(約3か月)を行うこととなった。
7.明暗 年の暮
・上野の浮浪者の収容(東京)
冬とともに、上野・浅草に集る浮浪者の数は日ごとにふえ、昨年よりも多くなっているため、12月8日、都民生局では上野駅周辺で浮浪者の一斉収容を行った。上野駅地下道には雨のため浮浪者が700~800人はいるという。
・養老院にストリップの慰問(東京・板橋)
板橋養老院にストリップ一座が慰問に訪れ、老人たちを驚かせた。
・製薬会社に売血者・供血者の列(東京・葛飾)
朝鮮動乱の激化とともに、血液の需要が急増した。製薬工場には失業者など血を売る人が、連日つめかけていた。
・ボーナス支給にわく特需景気の会社
今年の日本経済は、朝鮮動乱を機に不況の上半期から、輸出景気・特需景気の下半期へと激しく変ぼうした。この恩恵を受けた産業では、世間の不況をよそにボーナスが支給され、社員たちはニコニコその恩恵にあずかった。
・スーパーマーケットの出現(大阪)
世間の不況をよそに、朝鮮動乱を機に特需の恩恵にあずかる産業も出て、この景気をあてこんでスーパーマーケットが出現した。
・米の値上げ反対の署名運動(東京)
政府は26年1月1日から、内地米の消費者価格を約15%値上げする方針を決めた。これに対し、都内の労働組合・生活協同組合は、主婦連とともに反対運動を行うことになり、12月11日から3日間、新宿・渋谷など15駅で署名運動を行った。
・越年資金を要求して決起大会(東京)
総評系の全闘、左派系の全国官庁労働連合会ともに越年資金要求は合法闘争のわく内で行われた。このフィルムは歳末風景の一環として編集され、日時・場所不明のカットが多い。
New Nippon news No.258