「満洲国」幻想 ~1932年・中国東北部~
1932年、昭和7年に建国されたばかりの「満洲国」にタイムトラベルする。
この映像は日本の関東軍の後援で制作されたもの。いわゆる「大満洲国」の成立への歴史から映像で見せて行く。日露戦争の勝利でロシアから手に人れた中国東北部に五族協和、王道楽土を築くという「理想」を掲げて、建設された植民地だった。
日露戦争の実写、乃木大将とステッセル将軍の「水師営の会見」など、有名な歴史上のシーンを目のあたりにできる。そして柳条溝(湖)での満洲事変の勃発シーン。
現在振り返って見れば、批判を免れない暴挙だが当時は殆どの日本人が「国土が広がる」と歓迎し「広い大陸で一旗揚げよう」という感覚の人も多かった。
ここに出てくる日本人も、我が物顔に日本人居住区や日本人街を作って、いい生活をしていた様子だ。
関東軍の兵隊たちの生活ぶりの中で面白いのが「兵隊婆さん」と呼ばれていた年配の女性。クラプのようなところで、若い兵士の面倒をみていた名物お婆さんらしい。
首都となった新京をはじめ、奉天、錦州、炭田で有名な撫順、ロシア風のハルビンの街の、日本人、現地人の生活の様子がよくわかる映像だ。
字幕だけでナレーションはないが、当時の音楽をバックに、歴史を旅する。
1.タイトル
2.日露戦争から建国まで
「大満洲」松竹キネマ株式会社製作
満洲国建設から間もなく製作された映像。
日露戦争での日本軍の進軍、大砲を撃つ。
満洲事変での日本軍、戦車、飛行機、機銃掃射での攻撃。
満洲国の建国。大連の港、街。
旅順の203高地にある日露戦争の戦跡。
奉天の街並み、奉天駅、満洲医科大学、おでん屋、路面電車、市場、満洲人街、清の皇帝の墓。
兵士ホームでは、囲碁や将棋、卓球を楽しめた。食事風景。
満蒙毛織の工場では満洲人が働き、織物が造られている。
3.錦州、朝陽、承徳、万里の長城
錦州の街並み、人力車、葬儀、井戸、兵営、市場、日本軍から満洲の人達への給与品が届いている。
交通の要地だった朝陽。日本の赤十字社が病人、怪我人を診察している。
凌源
承徳(別名熱河)の風景、建物。
万里の長城
山海関の関所を通る人を検問する。関所を守備する兵士たち。
炭鉱都市の撫順。
鉄嶺では砂金を掘ることができた。
4.吉林、新京、ハルビン
吉林の街並み、風景。駅、旅館。公主領では家畜に羊が飼われている。
新京(長春) 駅、街並み、家が次々に建てられる様子。
関東軍司令部で執務する将校たち。陣中教練、新京守備隊。
満洲国政府 皇帝溥儀ほか満洲国の政府要人たち。
ハルビンの歓楽街、駅、中央寺院、ロシア人もいる。
松花江(スンガリー・ウラ)という川。 パーリーという氷上そり、ヨット。
露人街 街にはロシア語が見える。日本小学校では日本人児童が合唱し、国旗に礼をする。
極楽寺での慰霊祭。
孔子廟
満洲警察隊、廣瀬師団長。
使用作品
米国ナショナルアーカイブ「大満洲国」