暮らしガイドブック ~昭和10年代~
〔見ればむかし〕
昭和初期の日本の平和で美しい暮らし、文化、産業を紹介する。一見観光映画のようだが、この作品は当時、日本の敵国であったアメリカ陸軍が、180度違った価値観を持つ気心のわからない日本と日本人を研究しようと制作したもの。そのために映像はまず当時日本の植民地だった樺太や満洲、朝鮮、台湾、サイパンの人々の暮らしを紹介する。また沿岸漁権をもっていたカムチャッカの人々の暮らしや北洋漁業での捕鯨風景、北海道のアイヌ民族や開拓の様子も見ることができる。次に日本の国内編として華道、陶器、日本茶、真珠、水墨画さらに日本髪、着物ショーなど日本独自の伝統ある文化と産業が紹介される。これらの映像は完成品ではなくコメントがついていない。しかし、平和な美しい映像の中に日本海軍や陸軍が時折登場する。ここに当時の日本の天皇絶対の軍国主義国家であることや武力干渉による植民地政策がかたられたのかもしれない。どんなプロパガンダ作品だったのか、想像しながら見るのも面白く又映像からは全く懐かしい日本の時代と姿が再現されている。他に日本の植民地時代の南樺太を紹介した鉄道省制作の『シベリアの旅』から当時の状況がよく分かる。
1.人びとの暮らしⅠ
・日本までの海路
・日本の鉄道網
・横浜 海軍 戦艦
・北海道 アイヌ民俗 開拓民
・カムチャッカ 人びとの生活
・オホーツク海の動物 オットセイ アシカ
・漁業 捕鯨
・万里の長城
・満洲
・朝鮮 囲碁を楽しむ男性 洗濯をする女性
・台湾 生活風景 高砂族(高山族)
・サイパン 珊瑚 ワニの捕獲 祭 儀式 水上ボート
2.人びとの暮らしⅡ
樺太での生活
「樺太の旅 冬の巻」(昭和10年 鉄道省)
・宗谷海峡 宗谷丸 砕氷船
・蒸気機関車
・樺太の首都 豊原 駅
・そり
・ふかしいも 土産屋
・登校 スキー ジャンプスキー
・林業 木材の運搬 馬ぞり
・犬ぞり トナカイ
・材木流し
・製紙工場
・にしん漁 漁港
日本の伝統文化と産業
・生け花
・桑の葉 養蚕 繭できるまで 生糸を紡ぐ 機織り 染織 絹織物
・水墨画
・海女
・真珠の養殖 宝飾品
・陶磁器製作 ろくろ 釉薬
・絵付け
・茶摘み
・茶道 茶室
3.人びとの暮らしⅢ
・日本髪を結う女性
・パーマネントをかける女性
・三越 着物ショー
・ファッションショー 洋装
・大阪の夜景 ネオンサイン
・日本の祭り 竿灯祭り 神輿 阿波踊り
・陸軍の行進 敬礼をする農民
・靖国神社へ参拝
・小旗を持ち万歳をする人びと
・雪国 スキーヤー スケーター
資料協力:米国国立公文書館 交通科学博物館