水と火が生んだ新しい電力
〔見ればむかし〕
第二次世界大戦後の日本の経済発展に、電力は欠かすことの出来ない役割を果たしてきた。工業生産に、また家庭の電化にとその需要が増えつづけてきたからだ。
エネルギーの主役は水力から火力そして原子力へと移ってきているが、昭和30年代には盛んに新しい水力発電や火力発電がPRされていた。今回は当時制作された「新しい水力発電」と「新しい火力発電」の2本の映画をとおして時代への旅をする。
1.新しい水力発電 田子倉発電所の誕生Ⅰ
福島県只見川水系にある田子倉発電所が誕生するまでを追うのが「新しい水力発電」。3台の水車発電機の製作から据え付け、発電までを丁寧に描いている。水車本体だけでも732トンの巨大さ、最大水圧14.5キログラムに耐える精密機器の製作工程には引きつけられる。
田子倉ダムは落差が大きく水力は日本屈指。豪雪地帯のため冬の降雪は30億トンで、夏の雨量と合わせて50億トンにのぼる水力で例えば東京の全家庭の電灯を灯してなお余る電力を供給できるという。現在も日本一のパワーを保持している田子倉発電所だ。
・昭和28年(1953)着工
2.新しい水力発電 田子倉発電所の誕生Ⅱ
・昭和35年(1960)田子倉発電所完成
資料協力:「新しい水力発電」昭和36年(三菱重工株式会社)メディア教育開発センター
3.新しい火力発電所
「新しい火力発電」ではボイラー、タービン、発電機の製作工程を追う。ボイラーの心臓部であるドラムには引きつけられる。綿密な超音波検査、溶接後はレントゲン検査、水圧検査などという入念な検査が行われている。高さ40メートルに及ぶボイラー建設も迫力十分だ。
戦後日本の経済発展の基盤となった電力生産の歴史を振り返るタイムトラベルとなる。
資料協力:「新しい火力発電」(三菱重工株式会社)