くらしの詩~昭和30年代~
〔見ればむかし〕
昨年12月に放送した「犯人は鉄だ!」を制作したアマチュア8ミリカメラマン・礼本映光さんの作品3編と島田敏宏さんの作品1編で、昭和30年代の人々の暮らしを思い起こしてみる。まず最初は礼本さんの「新春の雑賀崎」にタイムトラベル。和歌山市の漁港・雑賀崎(さいかざき)の正月風景を詩情豊かに映像に残している。海から上る初日の出。光に映える海面と島影が美しい。
神社に参拝する地元の子どもたち。女の子たちは和服で着飾っている。露店も賑やかに出て、お面やヨーヨー、綿菓子などが売られている。港は大漁旗をなびかせた漁船で埋まり壮観だ。家々の間を巡る細い路地に生活の匂いがあふれている。活気に満ちた雑賀崎のお正月だ。
続く礼本さんの「波切の印象」はさくら8ミリコンテスト入選作品。志摩・大王崎の灯台あたりは別名「絵描き岬」。景色も素晴らしいが、働く人たちの姿が絵になる。漁港に水揚げされた大きなサメ。朝の魚市、天秤棒で物を運ぶ人、海女たち。暮らしの息遣いを感じる。
「新井の朝市」も礼本作品。新潟県の豪雪地帯の新井の春の朝市を淡々と描いている。主役は野菜や花などを売買する女たち。長い冬から解放された喜びがあふれる。
最後は島田敏宏さんの「家島のうさぎ狩り」。趣向が少し変わる。繁殖しすぎたうさぎに困った地元の要請でハンターたちが家島群島でうさぎ狩りをしたときの記録映像だ。農作物を荒らされる農家にとっては死活問題というわけだが、現在ではこのような映像は滅多に見られない。これもひとつの時代の映像として貴重なものだ。
1.「新春の雑賀崎」
(礼本映光)
漁港 雑賀崎小学校 瓦屋根 衣美須神社 新旧正月を祝う様子 晴れ着の子どもたち 大漁旗 巡査駐在所 トロ箱 路地を走る幼児 お手玉をする女児 三重の鏡餅 魚を裁く様子 晴れ着の子どもたち 屋台 浪曲・歌謡曲のポスター お面・ヨーヨーの屋台 綿菓子 ボンネットバス
2.「波切の印象」
(礼本映光 昭和34年8月22日)
志摩 大王崎灯台 英虞湾 海水浴 街並み ハマユウ(花) 道を箒で清掃をする女児 洗濯を干す 杵で穀物をつく様子 鰹節作り 竹をさく様子 祠 汗かき地蔵 大王病院 波切小学校 郵便局 街並み 大王町役場 波切港 鰹漁船 ウバザメの競り 水揚げされる魚 鰹を天秤はかりで重さを量る 商店街 井戸から水をくんで天秤棒で運ぶ女性 農作物を運搬する女性たち 海女
3.「新井の朝市」「家島群島 うさぎ狩」
「新井の朝市」(礼本映光)
リヤカーをひく男性 朝市 買い物客 野菜の販売 植木 衣類の屋台
「家島群島 うさぎ狩」(島田敏宏)
瀬戸内海 ハンター 猟銃
資料協力:礼本守男 島田敏宏 中口裕 和歌山市雑賀崎支所 三重県大王町役場 新井市