昔こんな学校ありました~弘前・東奥義塾と武田塾~

〔見ればむかし〕
明治5年に津軽藩の「稽古館」を譲り受けて開校した東奥義塾は、一度廃校となったが、大正11年アメリカ人の宣教師フロイド・シャクロック師によってキリスト教の学校として再興された。「桜と雪の国」というタイトルをつけられたこの映画は、シャクロック師がこの学校への寄付を母国に要請するために制作したものである。
無声映画で字幕が英語で入っている。まず「桜の季節に東北へおいでなさい」と始まり、弘前城の見事な桜と観桜会に集う人々が楽しそうな見世物や露店などを背景に紹介される。時代がよく表れた映像だ。
雪の弘前公園と津軽富士と呼ばれる岩木山。深い雪は農民にとって苦難の日々が続くことを意味する、とシャクロック師は言い、日本の抱える農業問題を考察する。
暗く貧しい農家の状況を紹介したあと、この問題を解決するには子どもたちに教育をつけることが必要だと、学校の重要性を説くのだ。シャクロック師は日本語が得意ではなかったので、当時生徒だった虎谷一郎さんがアシスタントをつとめた。虎谷さんは健在で、東奥義塾の教育についても記憶は確か。ハイカラなミッションスクールの日々がよみがえってくる。
もう一つの学校の記憶が「武田塾の全景」。70年前の映像だ。武田塾は大正15年に作られた児童養護施設で、少人数の家庭的な雰囲気のなかで子どもたちを育てることを目的に始められた。昭和4年当時の生徒数は男子7人、女子1人。現在も武田塾は存在し、定員は50人と、創立のころの精神を守っているという。一家団欒の雰囲気の中で生活し勉強する子どもたちの様子が紹介されている。
現代にも通じる2つの教育現場の記録映像を通して、教育の原点に出会える意義あるタイムトラベルだ。
1.桜と雪の弘前 昭和初期の東奥義塾
メソジスト教会 海外ミッションボード提供 制作フロイド・シャクロック
・弘前公園(青森市) 桜 花見客 観桜会
・東奥義塾
・弘前城天守閣 手漕ぎ舟
・祭り 屋台 露店 警官 三味線 見世物 チンドン屋 出し物 玩具 アイスクリームの屋台 獅子舞 シャクロック氏の子どもたち 桜吹雪
・弘前の冬 雪の弘前公園 スキーをする人たち 岩木山 そりを引く馬
・農作業 毛皮を着る農民 リヤカー 農民の家 畑を耕す女性 飯詰籠 いづめこ
2.弘前教会 東奥義塾
・日本メソジスト弘前教会
・弘前女学院(現・弘前学院聖愛中学高等学校) ミッションスクール 運動会 綱引き 薙刀 仮装行列 着物姿 セーラー服
・メソジスト教会運営の幼稚園 着物姿の園児たち まり遊び
・旧東奥義塾校舎 笹森順三塾長 宣教師フロイド・シャクロックさんの家族 スキーの様子
・東奥義塾校歌 体操する学生たち 相馬恵助さん 習字 応援団 応援の練習
・克己流柔術 武士道 笹森先生、小館先生による模範演技 剣道 練習風景
・校舎の屋根の雪下ろし 雪合戦 スキー 弘前公園
・写生風景 ウサギ・ヤギ
・農業実習 小比内農場 岩木山麓枯木平 炭焼き小屋 炭焼き工程 出荷 私立託児園 園児 お遊戯
・ミッションスクールの男子学生のスーツ姿 野球や馬術、弁論などの受賞トロフィー 寄付の呼びかけ
3.武田塾の全景(昭和4年撮影)
撮影天川春吉
・大正15年に児童養護施設として建てられた武田塾(大阪府中河内郡柏原町大字高井田)
・塾主武田慎治郎さん 武田ヒサさん 武田きしさん
・入塾依頼者の来塾 応接 児童の精神鑑別 面接
・毎朝の礼拝 学習風景 食事風景 園芸の手入れ 窓ふき
・運動場での遊戯 ブランコ 馬飛び おやつの時間 おこし
・娯楽室における遊戯 すごろく 図書室における図書閲覧 読書 自習室 二段ベッド
・浴室 タイル
・婦人見学団来塾の光景
協力:米国国立公文書館 東奥義塾高等学校 児童養護施設武田塾 柏原市教育委員会
著作:ドキュメンタリー新社
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