昭和10年 世相と暮らし
〔見ればむかし〕
昭和10年から12年にかけての日本。国の内外に見る世相と暮らしは、戦争の影を裏に潜ませながらも表面は平和でのんびりしていた。今回は番組に寄せられた個人の8ミリ、16ミリフィルムによるタイムトラベルだ。
高石市の仁木和光さんの8ミリは高石の祭りと岸和田の祭りなど。上だんじりの高石町と下だんじりの岸和田市が祭りの競演を見せる。当時の町の様子と人々の服装に時代があらわれている。仁木さんのお父さんはサイクリングやビリヤードなどハイカラな遊びの記録も残している。
大阪市の妙見昌信さんの8ミリはお父さんが撮影した家族の記録。昌信さんを含む男子三兄弟と妹、従兄弟たちの夏休みの遊びの記録が貴重だ。今は埋め立てられて姿を消した芦屋の打出浜での海水浴。造船所を経営していた祖父ガソリン代兄弟に一隻ずつ造ってくれた立派な和船のミニチュアが珍しい。セミとりに興じる子供たち。木に登る子供のシャツの上に腹巻きをした姿も時代を感じさせて面白い。昭和10年にお嫁入した昌信さんの叔母さんの嫁入り道一式が披露されている映像もある。4つの部屋に飾り付けて近所の人にご披露したもので、昔の豪華な婚礼の風習を見ることができる。
田渕宇一郎さんのコレクションでは昭和12年に上海・蘇州に初めて海外出店した大丸の記録映像を見る。開戦前夜から戦時中にかけてのものだが、戦闘の場面もなく現地の人々の生活の様子もまだのんびりしている。
水の都蘇州の太湖の風景がとても美しい。すべて平和に物事が進んでいるように見えるが、実はこの裏で軍国日本の泥沼への歩みが進んでいたのがこの時代。古き良き日本最後の姿に触れる旅だ。
1.祭りや旅行を楽しむ人びと
・高石神社祭礼 秋祭り(10月4.5日)仁木貞餌撮影
神輿を担ぐ人びと・高石神社前(高師浜バス停)・旧国道26号線(現府道堺阪南線)・旧高石町役場・高北町だんじり・しがみ(通称オニクマ)の面
・岸和田だんじり祭(9月14.15)
中之濱町だんじり・岸和田城濠端・旧五風荘前の宮入り・五風荘・宮入りの吹き流し・お城へ渡る(現在はない)・岸城(きしき)神社への宮入り・大手町だんじり・大北町だんじり・別所町だんじり
・自転車旅行
修学旅行生・阪急電車で宝塚へ・宝塚動物園・大軌電車で奈良へ・奈良公園・東大寺・若狭井二月堂・鐘楼・あやめ池遊園地・名物急流下り・ボート・観覧車・動物園・ビリヤード
・仁木映画(自主映画)
高師浜・漁船・車に乗る幼児・歩行器に乗る幼児・天王寺動物園
2.昭和10年の世相
・淡路島里帰り(昭和10年)
大阪港・成相山・船のマスト用材の仕入れ・成相神社上田池・花見の宴会・嫁入り道具・トラックで運搬
・別府 温泉地獄と耶馬溪
旅行記録 八幡地獄・鶴見大地獄・海地獄・鬼山地獄・血の池地獄・砂湯・耶馬溪・羅漢寺・青ノ洞門
・大阿蘇国立公園
・芦屋・打出浜
海水浴・木製ボート・三越クラブ・体操・相撲・蝉取り
3.大丸上海開店
昭和12年 大丸が上海蘇州に出店した際の様子
大丸洋行・高島屋上海出張所・蘇州百貨公司・太湖(西湖)・川での洗濯風景・軍指定の旅館・人力車・物売り
資料協力:仁木和光・妙見昌信・田渕ミヨ・岸和田市だんじり会館
「1937年上海大丸開店」昭和12年(田渕宇一郎さん)
「だんじり、サイクリング・ビリヤード」昭和10年代(仁木和光さん)
「嫁入り道具・淡路里帰り」昭和10年(妙見昌信さん)