新日本ニュース第215号
1.李承晩大統領訪日
中ソ同盟条約が発表されて2日後の2月16日、大韓民国の李承晩大統領は、ダグラス・マッカーサー元帥の招きで来日した。韓国は極度のインフレとゲリラに悩み、米軍は昭和24年6月撤退したままで、25年1月12日のアチソン国務長官演説では、アメリカの極東防衛線からもはずされている感じがもたれていた。(『朝鮮戦争』村上薫)
2.民自・共産 正面衝突~国会だより~
共産党野坂参三氏は2月6日、平和革命は誤りだったと「自己批判」を発表したが、民自党は議会主義の否認であるとして、11日の衆院本会議で、佐々木盛雄氏が緊急質問し、「暴力革命を明らかにした以上、議員を辞任せよ」と述べた。これに対し、野坂参三氏が「吉田内閣こそポツダム政令違反だ」とやりかえしたところで、議長から発言中止を命じられた。
こどもをめぐる二つの話
3.こどものスキー交流(新潟県湯沢)
東京の子どもが「雪列車」で越後湯沢スキー場を訪れ、土地の子どもにコーチしてもらった。
4.赤い教員追放
東京都教育庁は2月13日、246人の教員の整理を発表、直ちに退職の勧告をはじめた。このうち120人は共産党員で「赤い教員追放」といわれた。一部の学童たちが、「なぜやめさせる」と校長を取り巻いたり、デモ行進したりした。
5.雪にいどむ科学者たち(北海道・新潟)
雪の結晶レプリカの作成(北海道)
北海道大学の中谷宇吉郎博士は、大雪山中の研究室で1月28日から2月10日まで雪の結晶の研究を続け、合成樹脂による雪の結晶の保存に成功した。なお、戦後日本の学術は、昭和24年9月仁科芳雄学術会議副会長がコペンハーゲンの国際学術会議に参加したのを手始めに、25年から本格的な国際交流が始まったが、25年度文部省科学研究振興予算は要求の17億円に対し、5億円であった。
鉄道の雪害防止研究(新潟)
新潟の鉄道雪害研究所の古川さんは模型を使って雪による列車転覆の原因を究明している。
6.賃あげ攻勢ひろがる
国鉄労組の自転車デモ
「9.700円ベース即時実施」などをスローガンに国会共闘のゼネスト態勢支持を呼びかけるため、国鉄労組は九州の鳥栖から東京まで自転車デモを行った。
日鉄スト
日鉄争議は日本製鉄の東北分離や経営の悪化を理由に、昭和24年11月、会社が業績手当の切り下げを実施したことから紛争が始まり、八幡製鉄所では2月2日から溶鉱炉の火がとまった。八幡のストは6日GHQの中止勧告後も、左派勢力(賃上闘争懇談会)の食い込みもあって2月21日まで続いた。
松浦炭鉱争議(長崎)
長崎県松浦炭鉱は昭和24年9月から争議が始まり、25年に入って1月13日、会社が201人の解雇を発表して以後2月10日までに24人が検束されるなど家族ぐるみの激しい闘争が展開された。この争議は2月12日、青年部長を中心とする右派の共闘新同盟の発足以後終息にむかった。(資料『労働運動史』)
New Nippon news No.215