新日本ニュース第140号
新劇界活気ずく
1.黄色い部屋 俳優座
昭和23年の新劇界は、地方公演で息をつきながらも、俳優座が演技陣を強化して最も充実した劇団に成長した年である。これは、俳優座の舞台げいこを記録している。
2.ミスター人類 新協劇団
新協劇団は米軍の好意でソートン・ワイルダー作の「ミスター人類」を村山知義氏の演出で、9月14日から帝劇で公演することになった。大衆演劇で「肉体の門」が大ヒットしたこの年、このアメリカ物の上演は、新劇界で最も期待されたものだったが、好評に反して不入りだった。
3.平沢氏容疑深まる 帝銀事件
帝銀事件の容疑者平沢貞通氏の黒白をめぐって、警視庁の捜査が絞られ始めていた。これは筆定鑑定の遠藤恒儀氏にインタビューした記録である。
時の話題
4.二万五千ドルの宝石変換
日本が戦争中連合国側から奪った財産の一部、2万5千ドルの王冠用宝石が、9月3日、オランダ政府に返還された。
5.教育映画に新威力
映画によって日本の民主化を図ろうと、連合国総司令部民間情報教育局は、ナトコ(natco)16ミリ映写機1.300台を貸し出すことになり、東京都の分40台が活動を始めた。受け入れ窓口は文部省芸術課だったが、各都道府県教育委員会はとりあえず視覚教育係を新設し、軍政部命令で視聴覚ライブラリーの整備に追われた。
6.明るい町へ ―本庄町その後―
顔役の暴行事件から町政民主化の見本として注目された本庄町は、事件発生以来29日目の9月4日、山口公安委員長以下公安委員が総辞職し、大泉本庄町警察署長も辞任して、9月7日、盛んな町民大会を開き、明るい町の建設を決議した。
7.物価引下げへ 主婦のうごき
インフレがぶりかえし始めていた。大阪で「ヤミの肉を買うな」と主婦の会が肉屋に押しかけ、東京も不良マッチ追放の大会が開かれるなど、物価引き下げ運動に参加する主婦の動きが活発になってきた。
8.ちかごろの政界風景
与党 社会党の内部対立は、23年度予算案に反対投票した左派議員の除名・脱党となり、更に10月の臨時国会を前に、党内では解散問題をめぐって揺れていた。
9.漫画の頁 清水崑
居座りを決めた芦田均氏と解散論を説く片山哲氏の動きを、シーソーゲームになぞらえて漫画で描く政界風景。
New Nippon news No.140