新日本ニュース第112号
1.三月の声
北国の雪もとけはじめ、終戦から3度目の春が巡ってきたが、2月1日の厚生省児童局の調査によると、都会地では保護者がありながら浮浪する児童が、身寄りのない孤児を上回り増加していることがわかった。北国の春と孤児のひな祭り昭和23年の春を見る。
2.内申書は出たが
東京都は、自由募集する都内官立・私立中学校298校(うち官立8校)の入試について、高校まで進学させる財力と能力のある生徒を入学させたいという理由で、各小学校に対し、①生徒の個人差②家庭の財力表を内申書に記入するよう要求したため、2月はじめから都教組との間で紛糾を重ねていた。結局、都教育局は2月23日①成績順、生計程度は記入しない②今後は、教組の意見を尊重すると言明し、都教組は内申書を出すことに同意し、解決した。こうして内申書問題は解決したものの、内申書の必要な私立中には志願者がつめかけ、内申書のいらない新制中学では教育財政難から間借り授業が続いている。
3.仮面をはがれた平和主義者 東京裁判
最終論告9日目、2月24日の東京裁判は、星野直樹被告に対しランバート婦人検事が、木戸幸一被告に対してコミンズ・カー検事が、それぞれ被告個人の責任を論告した。
時の話題
4.労働教育大会
アメリカ第8軍東京軍政部主催の第5回労働教育大会が2月26日、日比谷公会堂で開かれた。全逓を中心に公務員労組の3月攻勢が始まろうとする時期に開かれ、共産党フラクション活動の限界について総司令部の見解が明らかにされた大会であった。(朝日新聞昭和23年2月27日)
5.煙になるか百万円 タバコくじ
評判の悪い大衆たばこ40億本を売り切って、160億円の専売益金の増収をあげようと、大蔵省がタバコくじを始め、2月の街の話題となっていた。経済計画の基礎に据えられた1.800円給与ベースがくずれ、実質2.900円となっていた2月期、財政難に悩む政府と貧乏にあえぐ庶民の表情である。
6.命を売る男(名古屋)
経済計画の破たんとともに失業も深刻となっていた。総理府の推進では、22年の10月現在、1週間に34時間未満しか働かない者437人、完全失業者67万人だった。名古屋では、22歳の男が命を売りますと、ポスターを出し話題となった。
7.芦田首班 組閣工作へ
次期内閣の首相は、2月21日、衆議院の指名により芦田均民主党総裁に決まった。芦田氏得票の内訳は社会党101、民主党88、国協等25、第1議員クラブ2の計216で、社会党左派が党議に従い支持に回った結果、芦田内閣がスタートすることになった。フィルムは連合政権の体質を漫画で風刺しつつ、芦田首班成立を記録する。
8.総理庁 全焼
2月26日午後3時35分、国会議事堂前の国会記者会館から出火し、おりからの強風にあおられて、国会委員会庁舎と新築の総理庁庁舎が全焼し、午後5時半鎮火した。原因は失火と言われていたが、バラック建だったことが火災を大きくした。
9.氷雪にいどむ(日光雲竜峡谷)
日光東照宮から女峯山に至る雲竜渓谷は、氷壁登山のメッカである。この雪と氷にとざされた難コースに、2月22日から日本山嶺クラブが挑戦した。
New Nippon news No.112