新日本ニュース第76号
1.今週の東京裁判
六月十七日愈々日独伊三国関係の反証に入った法廷には、スターマー元独大使が出廷、三国同盟締結当時の立役者として一般の注目をひいている。
2.カメラ報告 海底の炭坑(長崎・高島炭坑)
かっては囚人炭鉱として長崎沖に血なまぐさい暴動を繰り返した高島炭鉱の一つ端島は今、九階建のアパートも出来、海底から掘り出される石炭は、三千万トンを望まれて居るが、石炭増産の為に国家管理が問題となって
いる折柄、その増産の見逃しが問題となっている。
3.―六大学野球― 慶應、優勝す
春の王座を決する六月十七日、早慶二回戦の後楽園スタジアム四対二慶應リードのまま第七回に入り攻撃よく六対二で優勝し六大学リーグ春の覇権は遂に慶應が獲得した。
時の話題
4.世界航空路 東京へ(羽田)アメリカ、ノースウエスト航空会社の航空路が七月十五日から開設される事になりシャトルから東京まで僅か二十二時間使用機はダグラス四十六人乗りである。
5.天皇 文楽を御覧(大阪) 六月十四日天皇陛下は文学座え御成りになり、大阪が誇る古典芸術人形浄瑠璃をはじめて御覧になった。
6.小平判決(東京) 東京地方裁判所に於て小平義雄は六月十八日死刑の判決を受けた。これに対し三宅弁護士は控訴すると言っている。
7.財閥株 一般売出し(東京) 勧業銀行に保管されている二百億円にのぼる財閥株は一般に売出される事になり六月十八日証券処理協議会が開催された。
8.フラナガン神父帰る(横須賀) フラナガン神父は六月十七日帰米の途に就き日本人の上に神の祝福のあらん事を祈った。
9.再開近し 貿易の現状は?
貿易再開を前に六月十九日東京で全国貿易業者大会が開かれた。既に貿易館には竹や藁細工品、陶器、漆器等の輸出見本が集まり検査を受けている。輸出品で一番有望視されている錦糸工場の生産は戦前の十分の一であり、
電力、原料等幾多困難な問題が前途に横り、必要な食糧の輸入に影響するので注目されている。
New Nippon news No.76