映像チュウニチニュースダイ362ゴウ V1H2520200650

中日ニュース第362号

撮影年月
1960年(昭和35年)12月
コレクション(提供者)
中日ニュース
撮影
発行
中日ニュース映画社
製作
中部日本新聞社 中部日本ニュース映画社
配給
時間
7分54秒
米国国立公文書館オリジナル番号
館内限定公開 色彩無 音声有 貸出不可
内容

激動の一九六〇年
  一九六〇年は“黄金の年”としてはなやかにあけました。岸首相は日米新時代をカンバンに新安保改訂へのりだし、ホワイトハウスで新条約の調印を完了しました。しかしこれを起点に六ヵ月間の安保ドロヌマ騒動がはじま
 るのです。
  安保騒ぎが賑やかになる前には三井三池で血なまぐさい労働争議が繰り展げられ、四月に入ってようやく院内の安保委員会の審議が白熱化して来ると院外では請願デモの波が国会周辺を埋め全学連は激しい肉弾戦を繰り展げ ました。
  この頃、隣の韓国で学生の暴動からワンマン李承晩が失脚したので全学連はますますご気嫌です。
  五月十九日自民党は警官隊まで導入して安保条約を強行採決しました。
  この自民党の強行には空前ともいえる猛烈な抗議デモが行なわれました。そしてこうした日本へやって来たハガチーさんは激しい洗躍デモにあい、アメリカ軍ヘリコプターによる救出騒ぎまでおこったのです。
  こうした反対運動は六月十五日の国会デモで頂点に達しました。この夜の全学連と警官隊との大乱斗で一人の女子学生が生命を失う事態にまでなりました。しかし新安保条約は六月二十日に自然成立し、念願はたした岸さん
 は政権の座を去りました。
  安保騒動の副産物は右翼の抬頭です。安保デモには必ず現われてあばれ廻り、社会党の河上さんから三悪追放の御本尊岸さんも刺されるという皮肉なとりあわせとなりました。右翼テロは浅沼さんの暗殺で頂点に達したので す。
  アメリカではアイクにかわって新鋭ケネディ氏が新大統領に当選しましたが日本では高姿勢の岸さんの跡目を大変低姿勢な池田さんが引き継ぎました。御自慢の「月給二倍論」で票をかきあつめ総選挙でも大勝しました。そ こへもって来て町は縄文以来の好景気で賑わい、ボーナスの札束が乱れとびましたがみなさんのふところはいかがですか?
  消費ブームのかげに職安通い、その日ぐらしを続ける人が全国にあふれているのです。特に悲惨なのは九州の炭鉱地帯。膨大な失業者が職を失い、住いを失って、大都会の谷間へ流れこんでゆくのです。かくして世の中の二 重構造は差を拡げるばかり大阪のカスパ、釜が崎の年の暮の表情は世が繁栄を謳歌しているときだけにあまりにも無惨です。新しい一九六一年は万人にとって平和と繁栄の年でありたいものです。

原文

Chunichi news No.362