中日ニュース第361号
叱られた厚生白書 国会論争から
所得倍増を看板に店開きをした第二次池田内閣は、厚生白書を出して叱られた女性大臣をスゲかえて、折柄のドル防衛などどこ吹く風と相も変わらぬ鼻息、初の記者会見ではドル防衛を心配する日本人は、世界中で一番心配
性だという御託宣です。
池田さんから貧乏性のレッテルを貼られた社会党では、敵を倒すにまず敵を知るべしと経済政策の勉強会を開き、所得倍増政策批判の研究に余念がありません。そして、特別国会のへき頭、質問に立った山本幸一氏は、問題
の厚生白書をとりあげ、「所得倍増政策をすすめるとかえって貧富の差が大きくなることを証明されて、都合が悪いので国政白書を出した前大臣を叱ったのだろう」と嫌味たっぷりにくいさがり、池田さんは「数年前の古い資
料しかない不勉強を叱ったのだ、その証拠に、日本の社会保障費は年々増えているではないか」と強気に反ぱくしていました。
A・A諸国の旅おえて 皇太子ご夫妻帰国
東南アジア訪問の旅を続けられた皇太子ご夫妻は十二月七日、最後の訪問地ネパールへ到着されました。
世界の屋根ヒマラヤを抱くネパールはおしゃか様の生誕の地でもあり、非常に長い歴史を持っています。首都カトマンズは千を越える寺院で埋めつくされ、またヒンズー教の珍しい像が随所にみられます。
こうした古い伝統文化にとざされた街だけに人々の歓迎もお祭のような大騒ぎでした。
カメラ・ルポ
東京駅
大正三年十二月二十日に東京駅が店開きしてから今年で四十六年。ホームの中央を遮断する〇(ゼロ)標識が示す通り、ここ東京駅は国鉄の起点となっています。
一日の運転回数二千二百回、のべ百十万人に及ぶ乗降客をかかえる東京駅はマンモス都市東京の一断面ともいえるでしょう。
午前四時十五分、中央線の始発と共に一日の活動が始ります。そして楽しい夢路を結んだ夜汽車がぞくぞくと到着する頃から、やがて朝のラッシュを迎えるのです。
中央・山手・京浜・横須賀の各ホームに到着する満員の通勤電車、ピークには三〇分間で十数万の人たちを運び込みます。
人間の数と正比例ではちとほめられない遺失物取扱所、楽しい旅の夢をつくる旅行案内所。
自分の体の倍もある荷物を方に階段を昇り降りする赤帽さん。
特急コダマと各駅停車のドン行がはち合せする列車ホーム、新婚列車の別名をいただく“いでゆ号”とさまざまな模様をくりひろげます。そして街のネオンと共に朝はき出された人の波は、あたかもスポイトの様に吸い込ま
れてきます。
そして今日も終りを告げる頃、帰る人、行く人、さまざまな感慨をのせた終列車をあとに悲喜こもごものドラマを展開した東京駅も一日の幕を閉じるのです。
Chunichi news No.361