中日ニュース第359号
エチオピアの皇太子ご夫妻
皇太子ご夫妻は、十一月二十三日、エチオピアのアジスアベバ空港に到着。ハイレ・セラジエ皇帝の出迎えをうけました。アジスアベバは文字通りの歓迎一色で埋まり皇太子さまも盛んに歓迎に答えています。
そして、この国のシンボル、ライオンがいるジュビリー宮殿を訪れ皇帝と歓談されました。
明けて二十四日、エニオト山にドライブ。日本大使館での歓迎レセプションにはマラソンのアベベ選手も出席。ご夫妻とあいさつを交わされました。
このあとご夫妻はハイレ・セラシェ劇場でエチオピア伝統の歌と踊りをごらんになり、しばしの旅情をなぐさめられたのです。
大鵬大関に昇進(福岡)
十一月二十七日、大相撲九州場所は千秋楽を迎えました。
この日、十二勝二敗でトップに出た大鵬は、西の関脇北葉山と対戦。西土表に高々と吊出して初の優勝を飾りました。若干二十才にして大関に昇進、年間最優秀力士賞、雷電賞に輝くなど大鵬にとって想い出多い土俵でし
た。
廃墟の村(滋賀)
滋賀県坂田郡の山中、うっそうとした樹海の中に二十戸の無人地区があります。
この樽ヶ畑地区は、平安朝のむかし藤原氏に都を追われた惟高親王と供の者五十名が住みついたと伝えられていますが、耕やす田畑もなく、生活難から地区を捨てるものがつづき今では全く廃墟の地区となり荒れるがままに
なっています。
しかし、悲劇の皇子に殉じた歴史とともに、人びとは今なお廃屋にかぎりない愛着をもちつづけ、中でも最後まで地区を去ることを拒んだ八十才の老婆は、養老院に入れられてまもなく行方不明となりました。
老婆の孤独な執念が生きつづける荒廃の村も、最近電鉄会社が買収し、二年の後には近代的なスキー場に生れ変ることになるそうです。
日本の群像
脚で生きる 師走のかげに(東京・京都)
縄文以来の好景気にわく師走の町は、五千億円のボーナスを狙ってうの目たかの目。デパートが華々しい宣戦攻勢をかければ、これに対抗して商店街はチンドン屋さんを雇って防戦につとめます。
うけに入ったチンドン屋さんはおちおちしていられない商店街を尻り目に大いにかせぎまくっています。華々しい大資本の谷間で雑草の様なたくましい生活力をみせているのです。
また、才末ともなれば、貨物の山にトラックも数不足な昨今。そこで、かつぎやさんならぬ飛脚屋さんがこれまた大繁昌です。
注文の品を確実に配達する私設コンテナとあって、京都の問屋街に大もて。神風トラックには遠く及ばないまでも、飛脚屋さん達は結構重宝がられています。
赤坂の姉妹たちもお座敷シーズンを迎えてかけもちに追われる忙しさです。そこに登場するのが車屋さん。汽笛一声新橋と文明開化の波にあらわれた車屋さんが足を頼りにひっそりと生きています。御座敷からお座敷へ一回
五十円の御祝儀で送り迎えをつとめるのです。
移りゆく時代の蔭に、その生命は今後も花柳界と盛衰をともにしてゆくことでしょう。
Chunichi news No.359