中日ニュース第349号
訪米する皇太子ご夫妻(東京・栃木)
九月二十二日、日米修好百年祭を記念してアイゼンハワー大統領の招きで渡米する皇太子ご夫妻は毎日準備においそがしい日を送っています。そして出発を前にした十九日東宮御所ホールでの記者会見で皇太子様はアイゼ
ンハワー大統領の訪日中止は非常に遺憾なことだが、アメリカのみなさんに招待をいただいたことは大変嬉しい、そして日米勧善に大いに努力したいと述べ、又育ち盛りの浩宮様をおいて行かれる美智子様はたった二週間の
旅だが浩宮様が声を忘れない様テープに子守歌を吹き込むなど子を持つ親の心をお話になりました。
週刊話題
秋は美容から(東京・千葉)
酷暑の夏が去り、本格的な秋を迎えて今年も賑やかなファッション・ショウのシーズンとなりました。
世はムードの時代とあって着物ショウには踊りを折りこみ、女性ヘアースタイルには男性美容師を売りものにするなど新手が続々現れました。しかもあたりまえでは売れませんとばかりに“四次元界”(よじげんかい)のヘ アスタイルなど前衛派が横行し男性方をふるえあがらせています。
名古屋市長に小林氏
名古屋市長選挙は自民党の辻候補と民社・社会の野党連合が推す前市長小林候補との間で争われました。九月十五日には総理大臣の池田さんも応援にかけつけましたが、名古屋駅では全学連や陳情部隊にとり囲まれて立往
生。招かざる“歓迎陣”にはいささか御機嫌ななめでした。
一方小林さんの応援にやって来た西尾さんと浅沼さんはふだんのけんかも一時休戦。仲良く手をつないでの激励をしていました。その甲斐あって十八日から開票されるや小林候補が終始リードをつづけ四万票余りの差で見事 当選総選挙の前哨戦にまず金星を獲得しました。
物いいのついた“永仁のツボ”(愛知)
せともの焼きで知られる愛知県の瀬戸市。年に一度のせともの祭りも今年は「永仁のツボ」をめぐってとんだ騒動を呼んでいます。重要文化財に指定された「永仁のツボ」は架空のものであるというのがそもそものほった
ん。物いいをつけた瀬戸市史編さん委員会は、この程、発見したという場所へ現場調査。ところが、出てきたものは鎌倉時代とはおよそ縁遠い代物ばかり。その場所も点々と変り、ついには水源池ということになり、アリバイ
工作はとうとう湖底にまで発展したのです。こうした折から瀬戸市に住む加藤宇助さんは、「私はニセのニセ作り」であると名乗り出ました。カマから出した花ビンも細工次第で一時間には古陶器に早変り、それでも、「永仁
のツボ」くらいになると七ツ道具では追つかないということです。
カメラスケッチ
“としよりの日”によせて(東京・愛知・京都)
九月十五日は“老人の日”。長寿を祝う集に各地で催されました。東京では、今年も年一度、二千円の敬老金が配られ、このわずかなお金をおしいただくのでした。京都市加茂川のほとりに十年前から風変り老人が住みつい
ています。中道さんという今年七十六才の老人で家族を全部失った。今年から年中石を集めて仙人のような生活を送っています。もの言わぬ石を愛する生活は現世への無言抗議でもあるようです。また、愛知県半田に住む小田 さん夫婦は戦争で家財を失いガム島さながらのほら穴生活を送ってきました。肌が土色になりながら不自由な妻をいたわってきました。このほど篤志家がバラックを贈り住みなれたほら穴に別れを告げました。この二十八年間 の穴ぐら生活を支えてきたものは老いて変わらぬ夫婦愛でありましょう。
Chunichi news No.349