映像チュウニチニュースダイ344ゴウ V1H2520200632

中日ニュース第344号

撮影年月
1960年(昭和35年)8月
コレクション(提供者)
中日ニュース
撮影
発行
中日ニュース映画社
製作
中部日本新聞社 中部日本ニュース映画社
配給
時間
8分35秒
米国国立公文書館オリジナル番号
館内限定公開 色彩無 音声有 貸出不可
内容

東海地方に集中豪雨
  伊勢湾台風から僅か一年、いまだ水の恐怖からさめやらぬ矢崎、岐阜県静岡県にわたる東海山岳地帯をおそった十一号、十二号台風は集中豪雨をもたらし岐阜県下西、中濃地方では、通算降雨量四百ミリを越え、ついに十三
 日午前、長良川を始め各所で河川が決壊、鉄道が不通になりました。
  岐阜市芥見(アクタミ)地区では、見るかげもない惨状を呈し、着のみ着のままかろうじて土手の上に難を逃れた人々も今また水の猛威を前に、今年も収入の道を閉ざされ全くの放心状態、決壊した堤防もやっと改修工事が 出来上ったばかりのことだけに、被災者はいうに及ばず関係当局の根本的な治水対策が更に強く望まれます。
近づくオリンピック
  八月二十五日から十七日間、“歴史の都”ローマで開かれる第十七回オリンピック大会も開会まであと一週間とせまり参加八十七ヵ国七千人に及ぶ大選手団もぞくぞくとローマ入り。市内では文字通りオリンピック一色にぬ りつぶされています。
  一方、競技場の施設も準備はすっかり出来上り、ローマ特産の大理石がふんだんに使われ古代ローマの遺跡と共に調和された美しさを作り出しています。そしてオリンピック史上空前といわれる美と力の祭典が、今やおそし
 と待たれるローマの表情です。
日本の群像
保障なき人々(宮城・東京・神奈川・静岡)
  八月十五日、今年もまた敗戦の日が訪れた。
  ここ箱根の療養所には戦争で傷ついた五十余名の患者が、今日でも気の毒な生活を送っている。
  山田さんは戦争末期に負傷して入院。あの頃乳のみ児だった娘さんも結婚の適令期を迎えた。
  元陸軍少尉の三浦さんは、中支戦線で両足を切断。その三浦さんは、目の見えない人はより不幸だと、盲人のために点字のほんやくをつづけている。
  清水市にも遠く故郷を離れた小笠原島民がいる。補償はなくても楽しみはただ一つ、帰えることのみだが、安保条約は故郷の接収解除を延長した。
  また、宮城県丸森開拓地に見る引揚者の生活は目をおおうものがある。不毛の原野に鋤を入れて十六年。あるのは、ただ“冷害”のみという悲惨な才月だった。
  三年前、良人に先立たれた森さんは、四季の“山菜”を摘んで行商を始めた。ささやかな商いにも母子三人の生存が託されていると思うと、一日として欠かすことはできない。
  あれから十五年、花やかな繁栄の蔭にこれはまた“保障なき社会”の戦役史ともいえるようだ。

原文

Chunichi news No.344