中日ニュース第342号
オリンピック第一陣出発 陸上選手団(東京)
水泳の山中、体操の小野と、皆んなが期待をかけるあの顔この顔、二一八人におよぶローマオリンピック日本選手団の結団式が七月三十日東京体育館で皇太子ご夫妻、池田首相らの参列で花やかに行なわれ、ロスアンゼル
スオリンピック以来選手団ゆかりの日章旗が秩父宮妃から選手団に渡され、桧舞台での健闘をげきれいしました。
そして八月二十五日から十七日間開かれるローマ大会の第一陣を受けたまわる陸上チーム総勢二十五人が、一日午後、羽田から晴れの壮途につきました。
社会党支持を決める 総評大会(東京)
総評が結成されてから今年で十年になります。その十周年を記念する第十五回定期大会が、七月三十一日から東京九段会館で幕をあけました。
会場には、フランス、イタリーなど遠来のお客さまも参加、記念大会にふさわしいいろどりをそえました。今大会の焦点である運動方針の政党支持をめぐって主流、反主流が激しくわたり合いました。然し結果は、社会党支
持を決定、注目された太田議長の去就も結局留任と決り、岩井太田ラインが、存続されましたが、労働運動の民主化が叫ばれている今日、その出方が注目されています。
真夏の流行(東京・江の島)
ヒョウキンな黒ん坊人形をお供に町を歩くのが、いま、ハイティーンの間で大流行。ところが、製産が間に合わないとかで、この黒ん坊を手に入れるのが、また一苦労なのです。
デパートには、この人形を買おうと早朝から大勢の人が押しかけ大変なさわぎです。
さて、カンカン帽をかぶるのは男と、昔は相場が決まっていましたが、女の子の間で、ちかごろ大変なもてよう。
負けてはなるものかと銀座の若者たち。いささか頭に来たこの流行、まさにてんやわんやというところです。
カメラ風土記
“伝説の町”を訪ねて(愛媛)
四国の高松から予讃本線で七時間。伊予の宇和島は、伊達秀宗の昔から十万石の城下町として栄えてきました。
ここでは、古い格式がものをいう反面、人情の機微に触れる素朴な気風を見ることができます。
こうした精神的風土のなかで数多くの伝説が語られてきました。
平家の落武者を祀った堂崎観音にまつわる源氏の美談もその一つ、ここでは伝説も歴史として活きています。迎えた和霊祭もその例外ではありません。生活の底に触れるひたむきな信仰が見られます。この祭りの圧巻は、何 んといっても斗牛、七五〇キロ、二百貫の巨体が相打つ肉弾戦、その判定をめぐってついには人間同士がなぐり合うすさまじい光景も見られます。
淳風美俗とうたわれる南予の素朴な風土のなかに、殺気立った激しい気性の一面も知ることができるようです。
こうして今に伝わる伝統は祖先の大いなる遺産として人々の生活のなかに生きてゆくことでしょう。
Chunichi news No.342