中日ニュース第337号
三つどもえの跡目争い 後継首班をめぐって
六月二十三日ものものしい警官隊に守られた外相公邸では藤山外相とマッカーサー大使が新安保条約の批准書を交換し、国論を二分した新条約は自然成立から僅か四日目に効力を生ずることになりました。
念願を果した岸首相は、この日退陣の意向を表明し、次期首班をめぐる自民党内各派の激しい動きがはじまりました。
岸・佐藤主流派の支持を期待して政権ダービーの本命を自認する池田派にたいし、大野・石井の両派は、共同戦線を張って池田氏を金権候補と排撃し、三つどもえの跡目争いはますますこじれるばかりです。
こうした、自民党内の派閥争いによって、かんじんの国会正常化は全くおあづけになっている有様です。
ジャズ狂時代
最近のモダンジャズのブームで、ジャズ界は戦後二度目のブームを迎えました。東京でおこなわれた徹夜の演奏会では超満員のファンが熱狂のうちに一夜を明かしました。
ジャズファンの中にはレコードを聞かないと仕事ができぬというデザイナー。音楽をかけっぱなしで激しく筆をふるう絵かきさん。詩とジャズ演奏のミックスに熱をあげる前衛芸術家など多士彩々。
東京のある終夜喫茶ではアメリカのビート族まがいの“ジャズ中毒重症患者” が昼と夜とをとりちがえたような毎日を過しています。
ハテや世界のブームといわれるモダンジャズ、日本ファンの表情を集めました。
カメラ・ルポ
蜂の巣城(大分・熊本)
下筌ダム建設をめぐる強制測量は、地元反対派の根強い抵抗にあい、昭和四十二年完成というのにまだ測量もすんでいない有様です。
ダム予定地は、大分・熊本にまたがり、完成の暁には、筑後川流域百万人の利益が約束されているといわれています。
反対派のリーダー室原知幸さんは、熊本県小国町きっての山地主、その資産は数億円にのぼるといわれ、旧家の誇をもって君臨してきました。
したがって、反対派百数十人の生活は室原さんの胸三寸にあり、地主対使用人の素朴なきずなで結ばれているようです。こうした背景のうちに六月二十六日、九州地方建設局は、ついに測量を強行、次いで二十八日には、蜂 の巣城に進入しました。
然し、和解を条件としながら特殊な人間関係を無視したことが、紛争を長びかせる原因になったようです。
Chunichi news No.337