中日ニュース第335号
美の栄冠きまる(東京)
世界の三大美人コンテスト―。
ミス・ユニバース、ミス・インタナショナル、ミス・ワールドへ送る日本代表選出大会が六月十日、東京千駄谷の体育館で花やかに幕をあけました。
郷土の期待と栄誉をになってえんえん五時間、息詰るような美の供宴です。かくて、ミス・ユニバースには福岡の古野弥生さん、ミス・インタナショナルには大阪の高木美智子さん、ミス・ワールドには北海道の村井容子
さんがそれぞれ選ばれ、来る二十八日、ミス・ユニバースを皮切りに世界の桧舞台へ出発することになっています。
嵐の中のアイク訪日(東京・名古屋・山口)
六月十日、アイク訪日のおぜんだてにやって来たハガチー秘書が、羽田空港で激しい“カンヅメ”デモをうけアメリカ海軍のヘリコプターで救出されるという騒ぎを演じました。更にアメリカ大使館へ追い打ちのデモをかけ られるなど、こんどの混乱はつもりつもった反岸感情の爆発ともみられ、ハガチー氏は日本の現実を身をもって体験することになったのです。
翌十一日は第二メーデー。国会は二十万の人波で埋められ安保反対デモは一層幅広くひろがるばかりです。この夜東京の全学連が渋谷の岸公邸へ押しかければ名古屋の全学連は自民党県本部前へ座りこんで警官隊の実力行使 をうけるなど、争いは激しさを増すばかりです。
こんなにも反感をかった首相はかって類がないともいえますが、しかしふるさとはありがたきかな。岸さんの郷里山口県田布施町では郷土の英雄を守れと町民のデモが行なわれました。ところが同じ町内で労組が“岸さんき らい”と反対デモを開いた為怒った町長さん一派と衝突するなど、やはりここにも安保騒動の別天地ではありません。
こうした緊張の国内世情に頭の痛い自民党は社会党へアイク歓迎を申し入れましたが、容易に首をたてにふってくれません。
六月十五日。国会周辺は参院での安保決行採決が噂される中で再び緊張の場面を迎えました。この日の夕刻、右翼が静かな請願デモに向って大暴れ。怒った全学連学生一万人は警官隊との間で激しい乱斗となり死者一名、重 軽傷者は五〇〇名を超えるという大変な犠牲者をだしました。全学連が猛烈なデモを繰り返せば、警官隊は大きく警棒を振って逆襲し、むきだしのままの憎悪と憎悪とのぶつけ合いが路上を血で染めるせい惨な結末をひきおこ したのです。バリケードのトラックには次々と火が放たれ、夜のとばりのおりた白亜の殿堂は、遅くまで赤い炎に映えていました。
若い貴重な生命が失われた今、政治家も国民も真剣に考えてみる必要があるといえるでしょう。
Chunichi news No.335