中日ニュース第333号
コダマ新記録で優勝 日本ダービー
関西のコダマか、関東のマツカゼオーかとさわがれた第二十七回日本ダービーは、五月二十九日八万余の大観衆を集めた、府中東京競馬場二四〇〇米コースで、明け四才二十六頭のサラブレッドが参加して行われました。
良馬場に恵まれたこの日は人気の中心コダマがよく好位につけ、ホームストレッチで逃げる関東のヤマニンモアーを一馬身四分の三かわして二分三〇秒七のレコードタイムを樹立して快勝、賞金五百万円を獲得するとともに七年ぶりに関西へダービー馬をもたらし期待にこたえました。そして馬券の売上げも三億九千万円を突破するなど記録にわいた今年のダービーでした。
生きていた元日本兵(立川基地)
敗戦も知らず、グアム島のジャングルの中で十六年も生き抜いていた元日本兵の皆川さんと伊藤さんが五月二十八日、米軍機で日本へ帰って来ました。
家族たちはすっかりあきらめていただけに大変な喜びよう。故郷の人々も、疲れ切って帰ってきた今ウラシマさんを村をあげて暖く迎えました。
高姿勢の岸首相
参議院が野党各派欠席のまま会期の延長を決めた会期切れの五月二十六日議事堂の周囲には、十万に及ぶ抗議のデモがつめかけ、岸首相の退陣と国会の解散を要求して気勢をあげました。こうした中で、自民党のいわゆる実力者会議でも三木、松村、石橋の各派は岸首相の退陣以外には政局収拾の道なしという有様です。内からも外からも退陣を要求されている岸首相は、声なき声の支持があるとして政権の変動を伴う事態の収拾は考えないと、高姿勢で居すわりの構えをみせています。高まる世論を背景に、社会党は六月一日、ついに議員総辞職へ踏み切ることになり全議員一二五通の辞表が浅沼委員長の手許に集められましたが、これが解散へのきめ手となるかどうか、事態はいよいよ大詰めをむかえることになりました。
日本の群像
悲劇の沿岸漁民(岩手・宮城)
五月二十四日未明チリを震源地に、太平洋側を襲った大津波は「チリ地震津波」と命名され被害総額は三百六十億円に達しました。水産関係だけでも百五十億円の損害を記録しています。そのほとんどが沿岸漁業を頼りにほそぼそと生きる零細な漁民でした。
なかでも宮城県のリアス式海岸に発達したカキの養殖は全滅という惨状、一瞬にして全財産を失ったのです。植え付けたばかりの種がきまで流され、伊勢湾台風による立上り資金も返せないまま借金はかさむ一方です。家の復旧を後まわしにして、流れたイカダの回収にあたっています。一方、資力も乏しく、年老いて遠洋航海もできなくなった人々は、わずかに浜辺の漁でその日ぐらし。こうして沿岸漁民の歴史はいつの世も日本の底辺に埋づもれて、その生活は常に、自然との斗いにあったようです。
Chunichi news No.333