中日ニュース第325号
セ・リーグ開幕
一九六〇年度プロ野球セントラル・リーグのペナントレースは、好天に恵まれた四月二日、東京、名古屋、広島の三球場で、パシフィック・リーグより一週間早く、各チーム総当り二十六回、七ヶ月にわたる長期レースの幕を開けました。
金田、長嶋、日本プロ野球の名勝負で人気をよんだ東京後楽園の巨人・国鉄第一戦。
“開幕を見ていて下さい”と自信たっぷりの長嶋が一回裏早くも対決、金田必死の投球を左前に快打。まさに気力の差を見せた対決でした。
続く与那嶺、藤尾の長打はこの日の金田を完全にKO、そしてオープン戦の暗雲を一気に打ちはらう快調な、すべり出しを見せました。
両陛下伊豆大島へ(東京)
夜来の雨も晴れ上った四月五日。伊豆大島に天皇、皇后両陛下は、海上保安庁の船“拓洋”でお着きになりました。
天皇陛下が大島を訪れられたのは三十一年ぶりのこと。
このフィルムは戦艦“長門”で訪問されたもので、まだ二十六才の若さ。自動車にも乗らず元気で三原山を歩かれました。
軍国時代と変った明るい歓迎に迎えられ、再び三原山に登られました。三十一年ぶりのすばらしい眺めを楽しまれ、御満足そうな一日でした。
抑留漁船員帰る(釜山・下関)
日韓両国の抑留者相互送還によって、抑留漁船員が三月三十一日、韓国船イリ号で下関港に入港しました。
如何なる点からも認められない“李ライン”のため、抑留された人たちは、釜山の抑留所で、故国の夢をみながら、帰国の日々を持ち続けたのです。
百七十六人の漁船員が収容所の門を後にバスに乗り込みましたが、残る四十七人との別れは身を切られるような想いです。
こうして、長い人で四年ぶりの帰国。走り寄る家族と涙の対面の禍が桟橋を埋めました。
大づめの三池争議(東京・福岡)
生産再開をめぐり流血の不祥事、刑事事件まで誘発して、尊い犠牲者を出した三井三池争議。犠牲者久保さんの葬儀は四月一日、春雨けむる四山鉱炭住街でしめやかにいとなまれました。ろう城生活に入った第二組合はほぞぼぞながら生産を再開。折から東京では、三井を除く大手十三社が三九五円のベース・アップに妥協、春闘態勢を解いた今、三池労組は、ますます孤立の道を辿ることになりそうです。
こうして大詰めを迎えたとはいえ、複雑な争議の背景と体制の混乱のなかで、三池労組の行方こそ労働戦線の将来を暗示するものといえるでしょう。
Chunichi news No.325