中日ニュース第323号
被災地の春(愛知・三重)
空前の大惨害をもたらした伊勢湾台風以来、初めて迎えるお彼岸。ここ名古屋市平和公園の集団基地では亡き人々を、とむらうお墓参りの家族連れが引きもきらず悲しみも新たに遺族の姿が見られます。また、あの日のままに墓石も倒れた被災地の墓地に来た老夫婦は先祖伝来のお墓を立て直し、霊をとむらいました。
春休みも間近い小学校の教室では、亡くなったお友達の写真を飾って勉強。そして今日は卒業式。楽しい晴れの日に悲しい思いでがつのります。式の後、亡くなった家を訪れ、卒業の報告と遠足や運動会のアルバムをお母さんに送ったのです。
手のつけようもなかった穀倉地帯は、漸く地区総出の努力が実って、苗代もでき、待ちに待った春が訪れようとしています。
差し戻し公判ひらく(宮城)-松川事件-
三月二十一日から、松川事件差し戻し審、第一回公判が仙台高裁、門田裁判長の下で開かれました。
被告たちは、六年前死刑を含む有罪判決を受けた思いも新たに、同じ高裁の門をくぐります。公判は、冒頭から辯護団と検事側が対立。事件以来十一年。注目の松川裁判はふり出しから、新しいメスが加えられようとしています。
労働戦線異状あり
委員長問題をめぐって社会党は浅沼委員長を推す鈴木派と河上派が真向から対立。再分裂の苦悩をはらみながら浅沼・河上会談も決裂。前面に安保闘争を、背後には労働戦線の分裂をはらみながら開かれた再建大会は、社会党の危機を一層深めることになった様です。
あの一四五日に及ぶ泥沼闘争をつづけた北海道苫小牧の王子製紙の第一組合も今ではすっかりさびれ、新入社員にも入会用紙を早速配るソツのない第二組合は、組合員の六分の五を獲得したいと意気健こう。
一、二〇〇名の首切りにはじまった三井三池のストライキもロックアウト以来すでに六〇日。家族ぐるみの闘争に運命をかけたこのヤマでもついに批判派が第二組合を結成、経済闘争を看板に工場再開をめざし第一組合の切りくずしをはじめました。最後まで闘うという第一組合、首切を認めても工場再開を主張する第二組合いは、説得合戦や異常な、にらみ合いをつづけています。黒ダイヤの悲劇は、今また労働運動の行方を決める大きな問題へと発展しているのです。
Chunichi news No.323