中日ニュース第308号
九年ぶりの無罪判決(静岡・東京)
二俣、幸浦とならんで、三大拷問事件として注目されていた小島事件は、昭和二十五年静岡県小島村でブローカーの大沢ユキさんが、オノで殺害された事件ですが被告の松永さんは、警察の拷問によって嘘の自白を強制されたといい無実を主張しつづけてきました。
十二月二日、東京の高裁のやり直し公判は取調べに無理があったことを認め無罪の判決をくだしたのです
無実の罪で九年間の獄中生活を強いられた松永さんはむろんのこと、村八分にされて家を追われながら、夫の無実を信じ獄中の夫を励ましつづけた妻のユキさんの苦労は並大抵ではありませんでした。人権擁護局では取調べに当った静岡県警捜査課には係官を派遣して真相を究明することになりましたが、再三にわたる被告のデッチアゲにたいしきびしい批判が投げられています。
日本の群像
現代のおばさま気質
政界、財界など各界から集った女性ばかりのおれきれきが、気の早い新年会を開きました。今年は男子禁制がとけたものの招かれた男性はお酌のサービス。酔いが廻われば歌や踊りもとび出して、おばさま天下の一日です。
こちらは、女性ばかりの碁会所。先生は、二つの碁盤をかけもちの忙しさです。ああでもない、こうでもないとやりくりのひと時は、毎日の家計簿のようにはいかないようです。
また、或る神社の社務所には元気な奥さん達が勢揃いしました。詩吟の勉強にいそしむ質実剛健型です。
健康増進もかねるというこのレクリエーション、元気の声が神社の森にこだましていました。
寒さにふるえる災害地(愛知・三重)
伊勢湾台風から七〇余日、中部日本災害対策本部は十二月九日解散しました。東海経済懇話会も岸首相を招いて寒さを迎えた災害地へ暖い援助を要請しましたが、日増しに寒さを加える被災地はまだ無残な姿をさらしています。今なお避難所生活を送る農民たち、土手の上のバラック暮しの人びと、掘り出された遺体のダビに新たな涙を流す遺族たち、そこ、此処に見られる風景はまだあの日のままの錯覚を起させます。
その上、木枯しがようしゃなく吹き荒れる今日この頃、海にかえったまま、手のつけようもない水の上の屋根裏生活を送る人びとにとって、暮れも、正月もない毎日です。それでも、人びとは、どん底から立ち上ろうと、今日もささやかな努力をつづけているのです。
Chunichi news No.307