中日ニュース第303号
逃亡五〇〇〇キロ―鮎川派選挙違反
総額一億円に及ぶといわれている鮎川金次郎氏派の売収容疑事件のカギを握る人物として、当局が全国に指名手配をしていた上野、川合の両氏は、意外にも冲縄で捕まり十一月一日羽田空港に強制送還されました。
両氏は、十五トンの漁船を買い、行商人に化けて脱出、台風もものかわトカラ群島の島づたいに奄美大島へさらに冲縄へと、当局の意表をついて逃げ廻ること五〇〇〇キロに、費した逃走資金は二、三〇〇万円とみられてい
ます。
両氏が捕まると当の金次郎氏は、ゼンソクの治療を理由にハワイへの渡航手紙をとったため、東京地検は急拠出頭を求めて、取調べを行いましたが、両氏の取調べによって、鮎川派の違反の全ぼうが明らかになるものとみら れています。一億円の売収容疑といい、二千万円を費した五千キロの逃避行といい、それまでにして当選しなくてはならないものか、常識では割切れません。
晩秋(東京・北海道)
曇天つづきのシルバー・ウィーク。それでも飛石連休とあって、どこの会場も、秋の名残りを惜んで、多彩な行事が披露されました。
また、皇居内では、菊香る文化の日を記念して、文化勲章の受章が行われ、今年は、日本語の川端竜子、作家の里見弴氏ら五人が選ばれました。
こちら、北海道の島牧では、賑やかなソーラン節にのって、“ブリ漁”のシーズンを迎えると、やがて北国の冬は駈足でやってくるのです。
日本の群像
栄光のナイン
無敗でかちえた日本選手権。
思えば実に九年ぶり、初の快挙である。
十月二十九日、夕暮れ迫る後楽園は、明暗を染め分けて悲喜こもごもの表情につつまれた。この日、三回に早くも一点を先行した南海は、七回にも巨人の 乱れに乗じて追加点を重ねた。どこからでも打込めるゆるぎない打
線と俊敏な機動力に物をいわせた見事な速攻だった。
鶴岡監督、快心の采配でもある。
チャンピオン・ジャイアンツに挑戦しながら自から軍門に下ること四度、宿敵ジャイアンツを目指して雌伏四年、念願の大型打線は、お家芸の脚力とあいまってここに遺憾なく威力を発揮したのである。
こうして南海は、ストレートに四勝をあげ、球史にさんたる記録を残した。その陰には、勝利への異常なまでの執念と、命令一下一糸乱れぬ結束があった。
花吹雪と割れるような歓呼のなかを、鶴岡親分を先頭に夢にまで見た“御堂筋のパレード”黄色くいろずいた銀杏並木は、南海ナインにとって、まさに男の花道でもあったであろう。
Chunichi news No.303