映像チュウニチニュースダイ297ゴウ V1H2520200592

中日ニュース第297号

撮影年月
1959年(昭和34年)9月
コレクション(提供者)
中日ニュース
撮影
発行
中日ニュース映画社
製作
東京中日新聞 中日ニュース映画社
配給
時間
8分55秒
米国国立公文書館オリジナル番号
館内限定公開 色彩無 音声有 貸出不可
内容

招かれたフルシチョフ首相
  花々しい月ロケットの成功を先きぶれに、九月十五日、ソビエトのフルシチョフ首相はワシントンに到着、世界の半分を代表して歴史的な訪米の第一歩をしるしました。月ロケットの成功によって、軍事力の優位を一そう裏 付けたフルシチョフ首相は、「月に保存されているソビエトのペナントは、先住者として、アメリカの到着を待っているだろう」と自信のほどをしめました。翌十六日ナショナル・プレスクラブの昼食会に招かれ、四〇〇名の
 記者団と会見、「わたしは物乞いに来たのではない、ソビエトは経済競争でアメリカを追抜くだろう」と大みえを切り、得意の話術で縦横にかけめぐり、しんらつを以て鳴る記者団を感嘆させました。しかし、一般の空気は、 反ソデモをやらないかわりに、目だった歓迎の雰囲気もなく、アメリカ人たちはフルシチョフ首相の優越感と自信に複雑な気持ちを示しています。
  そして、一七日、ニューヨークの国連総会に出席したフルシチョフ首相は、各国代表を前に大幅な軍縮案を提案、西欧側は空中の悽閣に過ぎないと声明しましたが、世界的な平和への期待を背景に、具体的な検討に入る気構 えをみせ、その成りゆきが注目されています。
週間話題
富士山麓に“青年の家”
  富士山のふもと静岡県御殿場市の旧米軍基地を改装して国立青年の家が完成、九月十九日には皇太子さま岸首相を迎えて開所式が行われました。
  朝な夕な富士を仰ぎながら、雄大な自然の中での共同生活を通して行なわれる新しい青少年教育の施設は大きな効果をあげることでしょう。
もたつく北鮮帰還
  北朝鮮への帰国を希望する在日朝鮮人の帰国申請受付が、九月二十二日から全国一斉にはじめられました。この日は朝から沢山の朝鮮人が受付の日赤窓口に集りましたが、帰還列車に乗車したら最後、外出も面会も一切御法 度という帰還案内書をみて大ふんがい。殆んどが申請を拒否、ジュノー赤十字代表にも正式抗議をして再び、帰還問題は暗礁にのりあげました。一方韓国側も都内をデモッて帰還反対の気勢をあげるなど、荒れ模様がつづいて います。
北海にも大被害―台風十四号
  戦後最大の台風!かと恐れられた台風十四号はうまく玄界灘から日本海へと抜けましたが九月十八日北海道が暴風雨圏内に入り日本海沿岸は軒なみの高潮に襲われて、百二十五名の死傷者を含む大きな被害をうけまし
 た。“洞爺丸事件”の印象も未だなまなましい青函連絡船はこの日暴風雨の中へ出航。五百九十九名の乗客をのせた摩周丸は激浪のためたちまちカジを壊されて漂流するなど遭難寸前の騒ぎまで引き起しました。
日本の群像
幼い抵抗(東京・埼玉)
  九月十六日、東京都下、玉川上水で三人姉妹が心中する痛ましい出来事がおこりました。家庭をかえりみない母親への抗議とは言え、身動き出来ない貧困があったからです。だが、世の中には、子供をあづけて、共稼ぎをす る親もあります。また捨てられる子供もありますが、親がなくても子はすくすくと育って行くのです。一方、先生は心理学のテストを行って子供の豊かな生長を願う自ずから限界があります。古きモラルへの抵抗でや社会悪へ の反撥で、補導される少年少女が多いのです。ともあれ、貧しさからの解放と楽しい家庭こそ、よりよい“子供の条件”と言えるでありましょう。

原文

Chunichi news No.297