中日ニュース第292号
2.14年目の置土産(福島・埼玉・神奈川)
戦争が済んで十四年。元軍人が北ベトナムから現地妻と子供達を連れて二十年ぶりに帰国しました。現地で結ばれ、第二の故国に着きましたが、言葉の通じない日本で子供を育てるのはなみたいていのことではないでしょ
う。
ここ埼玉県所沢市には文字通り敗戦の置土産混血の子がおばあちゃんと住んでおります。この子の行末を思う老婆の顔には深いシワが刻まれていきます。
路傍にすてられた子供達を育てている箱根の恵明学園。運命の暗いかげはなく、元気に生長しましたが、やがて来る人生の問題を温かい目で見守ってやりたいものです。
3.美の女王帰る―ミス・ユニバース―
ミス・ユニバース・児島明子さんは八月十四日夜、羽田着の日航機で一ヶ月ぶりに帰国しました。
その夜の空港は三百名の報道陣、そして世界一の美女を人目みようという見物人二千人がつめかけ“岸さんの帰国”のとき以上の盛況ぶりでした。
4.踊る旧盆(福島・高知・東京・徳島)
会津磐梯山を背に、実りの秋をまつ東北の米どころ。
今年も五年つづきの豊作が約束され、夜はにぎやかなオハヤシにのって豊作満作の踊りです。
こちら東京でも、東京タワーをヤグラに代えて、景品つきのコンクール。
民謡ブームの波にのって子供の合唱団も生れ金のなる木へ、お母さんも力コブ、大人顔負けの渋いノドです。
一方土佐の高知は、本場のヒットメドレーにのって“よさこい踊り”。
受けて立つ徳島は、御存知お国自慢の阿波踊り。同じ阿呆なら踊らにゃそんそんとばかり老いも若きも終日湧き立っていました。
5.水魔のつめあと―七号台風(三重・岐阜・長野・山梨)
狩野川台風から一年。今年も定期便のように本土を襲った台風七号は中部地方を中心に無惨なツメ跡を残しました。
岐阜県では牧田川がはんらんして四万戸がすっぽり水中にのまれ、又長野県では各地の河川がはんらん、葦野市、諏訪市、富士見町など濁流に襲われて沢山の犠牲者を出しました。
又、山梨県武川村でも川のはんらんで孤立状態がつづくなど全国の被害は二百億円。
そして濁流のひいた後、泥に埋められた被災地では家族を失い、あるいは畠、屋敷を破壊されて茫然とたたずむ人達の姿などが涙をさそいました。台風の来るたび年中行事のように起るこの惨事。その惨事の一コマ一コマが
余りにも悲惨なだけに政府の無策ぶりが批判されます。
Chunichi news No.292