映像チュウニチニュースダイ288ゴウ V1H2520200586

中日ニュース第288号

撮影年月
1959年(昭和34年)7月
コレクション(提供者)
中日ニュース
撮影
発行
中部日本ニュース映画社
製作
東京中日新聞 中日ニュース映画社
配給
時間
8分57秒
米国国立公文書館オリジナル番号
館内限定公開 色彩無 音声有 貸出不可
内容

夏のいろどり(北海道・栃木・東京・神奈川・名古屋・京都)
  盛夏がやって来ました。ここ北海道は真夏といっても水はつめたく、河童たちは、たき火にあたる始末です。
  こちら東京の江の島は、カミナリ族やハイティーンがまかり通って、おまわりさんはてんてこ舞。暑さがこうずるに及んで東京では殺人事件が続発。アパートの老婆殺し、更に、本屋の主人殺しと狂った世相の断面です。
 江戸名物の花火大会が雨をついてくりひろげられ、しめて二千万円が夜空に消えました。
  西に下って名古屋場所の優勝者栃錦の市中パレード。京都では、伝統の祇園まつりが都大路をねり歩き、真夏の絵巻をくりひろげました。
  奥日光では、皇太子さまをお迎えして、第一回の国立公園大会。若人の楽しいリクレーションでした。
  二十日から三日間東京の神宮プールで、日米水上対抗が行われました。五つの世界新記録がとびだす大熱戦となりましたが、殊に山中選手は四百メートルで、宿敵ローズを破るなど、八面六ぴの大活躍。スタンド一杯に埋め
 た一万の大観衆を熱狂させました。
カメラ・ルポ
南紀のあけぼの(三重・和歌山)
  “陸の孤島”といわれた近畿のヘキ地、紀伊半島を東と西から結ぶ紀勢線がこの程完成しました。七月十五日、祝賀列車急行“那智”はヂーゼルの響きも軽く尾鷲駅を出発。新線区間の三木里、新鹿間をすべるようにひた走
 り、やがて熊野駅に到着です。
  この日十河国鉄総裁ら一行を迎えた熊野市は、父祖三代。四七年の夢もみのり、終日祝賀行事にいろどられました。こうしたおめでたい話のかげに、人々に親しまれてきた“省営バス”が姿を消すことになりました。尾鷲と
 木本を結んで四十五キロ、二十三年間無事故を誇る国鉄ご自慢のバス路線です。矢の川峠では、上下線の乗務員が感激の握手、茶屋のおばさんにも最後のお別れです。
  こうして転任してゆく乗務員ともつきない別れ、静かに二十三年の歳月の流れを見送るのでした。
  一方、沿線では早くもシノギをけずる観光ブーム。一旗挙げようと抜け目のない資本家が殺到。こうして袋小路をかこっていたこの地方も、東西に窓をひらき中京、京阪神の“奥座敷”としてはなばなしく発展していくこと
 でしょう。

原文

Chunichi news No.288