中日ニュース第285号

球趣わく天覧試合（後楽園）
　　六月二十五日夜、天皇、皇后両陛下は東京後楽園球場で生まれてはじめてプロ野球を御覧になりました。
　　ゲームは伝統ある巨人・阪神十一回戦。四万人の大観衆がみまもるうち阪神は小山、巨人は藤田の両エースを立てて対戦しました。この夜のゲーム展開は、ホームランを応酬しあうという期待にそむかぬ豪快なものとなりま
　した。そして九回裏、長嶋がレフトスタンド大上段にホームランを叩込んで、サヨナラゲームという展覧試合にふさわしい劇的な場面に、球場を埋めたファンは湧きに湧きました。
週間話題
越後名物“三里の灸”（新潟）
　　新潟県和島村のお灸で知られる妙徳寺。今日は年に一度のお灸の日とあって近郷近在のお年寄りがどっとつめかけました。
　　苦しみを除く鐘の音とともにお灸がはじまり、これで病がなおるならと額に汗して我慢のしどころです。こうして、お客はざっと千人。ところで寺銭はしめて十万円ほくほくのていでした。
盛りあがるスリルと民族色（東京）
　　このほど来日したチェコ・スロバキアの国立サーカス団が七月一日からの東京公演を前に。報道班のため特別公開を行いました。
　　ライオンや馬の曲芸、アクロバット、手に汗をにぎらせる空中サーカス、加えて、共産国おとくいの人間スプートニク（人工衛星）などの妙技も御披露人気を集めました。しかしこのサーカスの最大の特徴は民族舞踊団。華
　やかな衣しょうに皮の長ぐつというおなじみのいでだちでのチェコの雰囲気もたっぷりなこの舞踊は大変な拍手をあびました。
日本の群像
斗う青春（東京）
　　安保条約改定阻止第三次統一行動の六月二十五日、東京大学では全自治会が参加、破防法斗争以来七年ぶりに大集会を開きました。
　　街頭へくり出された学生はこの日四千五百人。極左中の極左と自ら任ずる全学連はお得意の洗濯デモを展開。その頃右翼の一団がデモに挑戦、おかげでお巡りさん右と左で八面六尾の活躍です。
　　結成以来十一年、全国百三十校三十万の組織を有する全学連は今再度激しい政治の禍中に身をさらそうとしています。
　　その夜日比谷の中央大会で余勢をかった学生たちは、若きのはけ口を求めて街頭へ暴走。ある人はこれを進歩的といい、またある人はこれを極左ともいう。しかし彼等にとってはイバラの青春のようです。

Chunichi news No.285