中日ニュース第284号
勢揃いした派閥代表 ―岸内閣改造
岸内閣の大幅改造は党内派閥の抗争から二転、三転と猫の目のように変り、てんやわんやの騒ぎを演じましたが、結局、佐藤派の捲き返しが成功し、まる四日を費して六月十八日にようやく完了しました。
問題のカギとなった河野さんは事実上岸さんと手を切り、かわって、池田さんが一夜のうちに主流派から反流派へと鮮やかな変わり身をみせて入閣しましたが、それも筋書きは佐藤さんが立てたものといわれ、岸、佐藤兄弟
内閣という軽口もきかれます。
一応内閣改造は終わったものの、党内の態勢は足並みが揃わず、来るべき安保条約の改訂の際には再び党内抗争が一波乱起るものとみなされています。
日本の群像
当世花形作家(東京)
柴田鎌三郎さんは新聞、週刊誌から月刊誌と連載ものに、一ヶ月六百枚も書きとばず忙しさ。
三島由紀夫さんは一日三枚という慎重さで想を練るよろめきブームの生みの親。王朝趣味を生かした館に住んで快適な生活を楽しみながら仕事にはげんでいます。
石原慎太郎さんはボクシング見物やテレビ出演で行動派作家の新しいタイプを示しています。
五味康祐さんは自動車運転に余念がありませんが、一刀流のようにハンドルは切れてないようです。
貫禄充分な丹羽文雄さんは門弟たちを集めて文字談義に花を咲かせています。
推理作家の松本清張さんは、未解決事件に取組み、次の作の取材調査にメモを取る忙しさです。
カメラ・ルポ
地盤沈下に赤信号(東京・新潟・大阪)
ちかごろ、全国各地で地盤沈下が問題となり、騒ぎを巻きおこしています。新潟では以前から海岸浸蝕でどんどんけずられた上、二・三年前から地盤が沈下しはじめました。年間四十センチという激しい沈下で新潟全市はい
まにも沈没しそう。周囲をけんごなていぼうではりめぐらしていますが一雨くれば水びたしで大きな損害をあたえています。
東京でも最近、地盤沈下が目立ち江東地区は海面より低く文字通り海抜ゼロメートル地帯となっています。
地盤沈下では大阪が一番の兄貴分。昭和十年ごろから騒がれていたのですが対策工事がおくれて西淀川一帯の工場地帯が完全に水没してしまいました。これらの原因はどれも地下水のほりすぎが原因とされ、近代工業の無秩
序な発展がもたらしたものと批判をあびています。
Chunichi news No.284