新日本ニュース第45号
1.地方民主化へ 新公職追放令
地方選挙を前にした十一月八日に政府は遂に公職追放の拡大を発表しました。それは戦時中警察と手を組んで国民の不満を押さえつけ挺身隊とか義勇隊の名で若い女性や男子を危険な作業場へ送り込み、国民を軍閥の犠牲にしようとした者達が、これに依って追放される筈で、更に大きい民主化の道が開かれようとしています。
2.深刻化するインフレ世相
インフレの波に揉まれて国民大衆は五百円生活に四苦八苦しています、この波に食えなくなった労働者は各所で争議を起こし、そのうちの一つ東芝ではハンストを始める等、深刻な様相を呈しています。政府は配給確保の為に駅に警察を配置し闇ブローカーの大検挙を行いましたが、官も民も都会も農村も総てを捲き込んだインフレの波は刻々深刻化してゆきます。
3.時の話題
慶明ラグビー戦(東京) 秋晴れの十一月十一日後楽園スタジアムで本年度学生ラグビーの優勝決定戦、明治対慶応戦が行われ、前半慶応リード、後半明大の三トライに十四対六で明大の勝利となりました。
4.わが青春に悔いなし(京都)
十一月十日京都三高では全校をあげて記念祭が行われ、若き情熱を傾けてデコレーションに仮装行列に多彩な
一日を途りました。
5.海抜千二百米の鉱山(北海道) 北海道のイトカム鉱山は水銀の産出で世界的に有名でしたが、戦時中さびれた為、昔日の面影をとり戻すべく目下懸命の採鉱が行われ、見返り品としての将来を期待されています。
6.指と器械の一騎打ち(東京)
ソロバンと電気計算器の一騎討ちが十一月十一日、アーニイ・パイル劇場で行われ、片やソロバン選手松崎善義君、これに対する計算器選手トーマス・Nウッド二等兵で遂にソロバンの勝利となりました。
7.机上プランの悲劇 開拓地の現実
食糧増産、失業救済などの名目で終戦後始めた政府の開墾計量は現在どうなっているでしょうか、静岡県浜松近郊の三方原飛行場開墾地では機械開墾が行われましたが、ここは重粘土質で雨が降ると水が溜まり農業には不適当で政府の単なる机上プランによって引揚民六〇〇戸を此処に送り込んだのですが、食いものもなく農具も碌なものはなく、育った陸稲も芋も実に貧弱なものでこの人達はこの冬を超さねばなりません、斯様な状態に絶望し自殺した人もある始末で、最早政府に頼っては餓死するばかりだと共同農場の建設に立ち上がり、悪条件を突破しようと強い決意をするに至りました。
New Nippon news No.45