新日本ニュース第38号
1.タイトル
2.海員ゼネスト遂に解決(東京・北海道)
国鉄争議解決後も全国で四千隻余の船舶を停船して闘われた海員組合ゼネストは九月二十日遂に船舶運営会が馘首案を撤回し解決を見るに至りました。これより先、末弘言厳太郎氏以下が仲裁に立ち両者の間に最後的交渉が十九日に行われ、この交渉の成行を心配した組合員は運輸省に集合し廊下で待機し、交渉は決裂に頻しながら夜を徹し遂に二十日午前一時半妥協案が成立した。かくて十日間に亘って闘われたゼネストは解除され各港より船は再び活動を開始した。
3.少女誘拐犯人捕わる(東京・鎌倉・中津)
九月十七日大財閥住友吉左衛門氏の令嬢邦子さんが誘拐され、鎌倉署は必死の捜査を続行し、三ヶ月前に誘拐された清水潔子さんの事件に酷似しているところから同一犯と推定し犯人樋口芳男を全国へ指名手配をするに至りました。その結果岐阜県付知町濃地旅館主人の報告により、二十三日遂に捕縛され邦子さんも無事で温い我家へ帰る事になりました。
4.サンデースクール
横浜の進駐軍の人々が鶴見下谷国民学校の講堂で日曜学校を開き日本の教会の小父さん、小母さんが通訳で、お話しや英語の讃美歌を教える事になりました。
5.時の話題
6.石狩川鮭の大漁(北海道)
荒巻鮭で知られている石狩川の鮭は非常な豊漁で今度のお正月には皆さんの食膳を賑す事でしょう。
7.草刈競争(岩手)
堆肥増産を兼ねて草刈競争が九月十日岩手県滝沢村で行われました。四十二名の草刈選手は日頃の腕前を見よと懸命の活躍です。
8.むかしがたり おいらん道中(京都)
十年探りで復活した京都島原の太夫道中が九月十九日行われました。桃山時代からの風俗として金糸銀糸の衣裳、長柄の傘等で見物人の埋まる廊内を練り歩きました。
9.政府新案“三角クジ”
“ちょいと出ました三角くじが”と本場の八木節の伴奏よろしく勧業銀行が頭をひねった三角くじが二十五日から一斉に売出されました。一枚十円で一等は二千円その場で貰えるというので仲々の人気です。
10.引揚民に冬迫る
幾度か話題となった海外引揚民は冬を間近くひかえ、餓死と凍死に直面し重大な社会問題化しつゝあります。九月中旬迄の引揚者総計二百万人余り今なお続々引揚げつゝあり家もなく職もない、この人達は九月十九日京橋公会堂に全国大会を開き政府の積極的な政策を要求し議会へのデモを行いました。
New Nippon news No.38