新日本ニュース第35号
1.タイトル
2.深刻化する海員問題(横浜・神戸)
鉄道と共に重要なる事業である船乗りに對し船舶運営会では馘首を表明。これに對し日本海員組合では神戸海員会館で全国拡大評議会を開きましたがゼネスト主張派、自重派と互に譲らず、突如三〇名の暴漢が現はれビール瓶、木銃であばれ廻り議場は遂に混乱。一方横浜でも船員大会を開きボート内火艇の十数隻によるはじめての海上デモを行い注目をあつめた海員問額は深刻化しつゝあります。
3.小麦粉から三千人の中毒(東京)
家庭配小麦粉による、集団中毒が東京都中野区一帯に発生、被害者総数三千名重症者は病院に収容されました。警視庁では事の重大に調査衛生試験を行っていますが原因は毒性の草木の根が混入されたのではないかと言われています。食生活に喘ぐ都民にとっては配給物だけに安心して喰べられるようにして欲しいと要望されています。
4.時の話題
5.お米とおいも(石川・埼玉)
豊作の呼声高い今年の取入れ、八月下旬石川県では全国にさきがけて早場米の取入れが始まり、埼玉県では早堀甘諸かまるまる太って出はじめました。
6.入内雀“無断転入”(新潟)
満洲から遙々食料疎開で信濃川沿岸へやって來た一億と言われる入内雀が無断転入してチイチイパッパ……。
7.学童 塩を作る(広島)
広島県加茂郡木谷村国民学校では先生の指導で子供たちの校庭を利用して盬を作っています。教育と生産を兼ねた試みは各方面から注目されています。
8.よみがえる美術の秋(東京)
上野の杜をかざる二科展と院展とが九月一日から三年ぶりで蓋をあけました。資材不足で出品四一五点、しかも豊かな芸術の香りが漂っています。
9.みなさんの声
10.傷病兵はどうしている
八年間の侵略戦争――その最大の犠牲者の一人は傷病兵たちです、この人たちは國立病院で療養を続けて居りますが、食料や医療品が充分ではなく、また退院後の職業の問題等、この人たちにとって命がけの問題です、せめてお互にしっかり助けあって行こうとその日その日を送っていますが、今こそ当局がこの人達に万全の策を講ずべきではないでしょうか。
New Nippon news No.35