中日ニュース第258号
特集 一九五八年ニュースハイライト
デフレ景気に賑う年の暮れ、せわしく行き交う人々の表情のようにめまぐるしかったこの一年を今年も振りかえってみましょう。
西欧の植民地政策に反感を抱くアラブの民族主義が五月はじめレバノンに爆発、つゞいて七月にはイラクに引火して再度中東は大戦の危機をはらみました。
この年原子力潜水艦ノーチラス号は北極潜航に成功、その裏側の南極でバートアイランド号の援助も空しく我が南極観測隊は越冬に失敗。
然し、永田隊長を先頭に三たび白い大陸えの壮途につきました。
今年はまたカラ梅雨の反面、皮肉にも秋には水魔が東日本を相次いで襲いました。
なかでも伊豆地方を襲った二十二号台風は多くの被害をもたらしました。
また南海丸の遭難に次いで全日航の遭難など、海と空の不幸な惨事もありました。
波乱の多かった国内政治では、誕生した第二次岸内閣が勤務評定の全国的な実施にのり出し、日教組も全組織を挙げてこれに対抗、和歌山、高知では流血の不祥事を見るにいたりました。
こうして岸内閣えの日毎に高まる批判のなかで政府は「警職法」の改正案を提出。このため世にいう“変則国会”の事態を招くなど議会政治の在り方が問題になりました。
また文化の交流もめまぐるしく、なかでもボリショイサーカスの熊のスターが子供たちの人気を独占、そうかと思うとロカビリーの教祖ポール・アンカも来日してロカビリー旋風が日本のハイティーンを熱狂させました。
またスポーツではアジア競技大会が開かれるなど、なごやかな親善絵巻をくりひろげました。
そして菊かおる十一月、皇太子さまの婚約が発表、とかく暗いニュースの多かった今年の最も明るい話題でした。
やがて一九五九年。
新しい年を近くして世界一高い東京タワーが完成しました。
展望台から見下す師走の東京、美しいマンモスタワーのかげに一九五八年も今静かに暮れようとしています。
Chunichi news No.258