新日本ニュース第21号
1.学生はどこへ行く
預金封鎖で1ヵ月150円の学費では、1冊10円のノートもままならず、大学教育は危機にあった。重労働のアルバイトの一方、教育の民主化を訴える学生たちは5月26日、昭和8年の京大事件を記念する学生祭第1回東京大会を京橋公会堂で開いた。
大学での講義風景。大学構内に張られた就職あっせんのビラを読む学生たち。土砂をトロッコに積み坑口から坑内へ運ぶ学生。坑内作業の学生たち。休憩時間中、坑口付近で弁当を食べたり、ねそべったり、本を読む学生た
ち。学問の自由を求めて学生メーデー(5月26日)。第1回学生祭東京大会会場の京橋公会堂。インフレと食糧不足に対し、文部当局は何をするのかと演壇から訴えかける学生。決議文を持って首相官邸、文部省へ向う学生。勤労大衆への学問の解散、学生民主戦線の結成などの決議文を田中耕太郎文相に向かって読み上げる学生代表。
2.三浦環女史逝く
世界的なプリマドンナとして知られる三浦環さんは5月26日、入院先の東大病院で死去した。28日午後、東京淀橋区下落合の守屋東女子邸で密葬が行われ、お弟子さんの藤原義江さんや原千恵子さんの顔も悲しみにあふれていた。
祭壇の三浦環さんの写真。葬場の藤原義江さんらのお弟子さんや花輪。蝶々夫人の衣装の三浦さんの写真。三浦さんの愛用していた楽譜。アメリカを訪問した際、ウィルソン大統領と写した歓迎会場の三浦さんの写真。愛用し
ていたシューベルトの歌曲集。三浦さんをしのんで歌う藤原義江さんや原千恵子さんらのお弟子さんや関係者。
3.時の話題
・“海の戦犯人”解体(呉)
昭和20年7月、米艦載機の攻撃を受けた戦艦「伊勢」「榛名」、空母「天城」「竜鳳」などが、旧海軍呉工廠を引き継いだ播磨造船によって解体作業が進められた。
呉港沖合に浮ぶ旧海軍の戦艦「伊勢」「榛名」、空母「天城」「竜凰」など。旧呉軍港内に横たわる数十隻の特殊潜航艇。
4.ソ連引揚げ外交官帰る(浦賀)
ソ連からの引き揚げ外交団員ら95人を乗せたハバロフスク号は、5月30日、浦賀に入港した。佐藤尚武大使らは31日検疫をすませて上陸した。
浦賀沖に到着したソ連船ハバロフスク号。船上の佐藤大使や守島伍郎公使ら。甲板上の引き揚げ外交団員らの家族。検疫をすませタラップを降りる佐藤大使ら。上陸のあと米兵と話す佐藤大使。
5.ミンナ キレイニ……(東京)
都市の公衆浴場は燃料不足も加わり壊滅状態だった。5月21日から始まった東京都正常か運動の一つとして、足立区内の伊興国民学校では防火用水槽をお風呂に改造し、上級生が低学年の児童たちのからだを洗ってあげた。
校庭で爪を切ってもらったり、衣服をつくろってもらう児童たち。防火用水そうを風呂場に改装しからだを洗う児童たち。校庭で散髪をしてもらう女の子。
6.みなさんの声
・“新版”リンゴの歌(投書者)東京 保坂澄子さん
「リンゴの歌」は軍歌から解放された民衆に最初に広まった歌である。陽気で気さくなGIも”のど自慢”の放送でこの歌を歌い、この兵隊さんの顔が見たいという投書が集まった。
ビルの屋上でアコーディオンの伴奏でりんごを手に「リンゴの歌」をうたう一等兵のマルビン・フィンチ君。
7.満洲引揚民 故郷へ
佐世保に上陸した満洲からの引き揚げ者たちは5月28日、それぞれの故郷へ向かった。
列車の窓に張られた引き揚げ邦人専用車のステッカー。車内で眠る赤ちゃんや子どもたちの引き揚げ家族。車内で引き揚げ者の男性と女性に引き揚げについてインタビュー。車窓から見える焼け跡を見つめる引き揚げ者たち。
品川駅のプラットホームに入る引き揚げ列車と、ご苦労さまでしたと迎える学生たち。
New Nippon news No.21