新日本ニュース第11号
1.裁かれる“侵略戦争”A級戦犯裁判迫る
焦土の中に見える迷彩を施した旧陸軍省(元陸軍士官学校)の全景。大講堂を改装した東京裁判法廷を視察するジョセフ・キーナン主席検事とウイリアム・ウェップ裁判長。東條元首相らの使用した部屋。
東條被告の弁護人清瀬一郎氏「東條元首相が国民に対し重大な責任を負うのは当然である。しかし、この戦争を起したことが国際法上の犯罪であるかどうかについては争う考えだ」。昭和16年12月16日の第78臨時議会で施政方針演説をする 首相「米英の暴政を排除し、大東亜建設に…」。財政演説をする賀屋興宣蔵相。外交演説をする東郷茂徳外相。港で荷役作業をするインド人捕虜やシンガポールで土木作業をする白人捕虜。日の丸の小旗に迎えられオープンカーでマニラを訪問した東條首相。自由法曹団弁護士岡崎一夫氏「太平洋戦争は明らかに侵略戦争だ。日本の人民大衆を苦境におとしいれ、他民族の生存を脅かし、世界の平和をかく乱した憎むべき犯罪行為だ。この首謀者の責任をあくまで追及すべきだ」。
2.魚を直接消費者へ 食糧管理委員デモ(東京)
都庁へ押しかける都民食糧管理委員会のデモ隊。
デモ隊に取り囲まれた藤沼都長官「私は戦争犯罪人ではない……」。机の上に立ち上がったりして都長官にば声を浴びせるデモ隊。都長官をデモ隊から救出する警官隊。庁舎から追い出され玄関前でアジ演説をするリーダー「警察は我々を追い出した。これが民主的といえるか……」。庁舎前でアジ演説を聞く復員服姿のデモ隊。
3.近づく総選挙――どの政党を支持すべきか?
日劇前で日本ニュース社の高木俊朗プロデューサーの司会で収録された街頭録音。高木PDの司会。「今度の選挙で皆さんはどの政党に投票しようとしているか意見を聞かして欲しい……」。マイクに答える男2人「食べることを第一に解決して……」「主食3台の配給を……」。司会者「3合配給を要求する意見が多い……」。都内の警察署に応急米の交付を求める主婦たちにインタビュー「3合配給になれば寒い中を子どもを連れて応急米をいただきにこなくてすみます……」「2~3日前からお米が1粒もなく、育ち盛りの子どもがいて困っています……」。
工場の昼休みのサイレンとともに職場から空き地に集まって弁当を食べる工員たちにインタビュー「加配米も我々で管理を……」「食糧全部を人民管理にすべきだ……」「そういうことのできる政府が欲しい……」。
放送会館の外景とマイクに向う進歩党斉藤隆夫氏「食糧問題に関する国民的道義心を高揚し、国を挙げて生産の増強・供出の促進・消費の合理化・不正の防止を徹底せねばならぬ……」。
ラジオ放送を家庭で聞く一家や事務所で聞く人たち。NHKのマイクを前に自由党河野一郎氏「国民の不安感をなくす第一として外米の輸入に万全を期し、更に内地食糧の偏在をなくすため十分な施策を講じる……」。
演壇で演説する社会党片山哲氏「3合配給をなしうるには農民組織を承認し、農民組合法を制定することだ。労働者は組合の中に消費協同組合をつくり、すべての機構を民主化しよう……」。
東京都交通局の前で労働者に囲まれて語る共産党徳田球一氏「今の供出や配給はまるでどろ棒がやっているようなものだ。すべては人民が管理しなければならない。それを完成するためには人民共和政府を樹立することだ……」。日劇前の街頭録音風景と議事堂。
New Nippon news No.11