中日ニュース第246号
惨!!22号台風 東京
台風二十二号は、九月二十六日神奈川県江の島附近から上陸。この日、朝から降りつゞいた雨は東京でも四百ミリをこえる未曾有の大雨となって街中にはんらん。
風速二十米、横なぐりの豪雨のなかで逃げおくれた人々の救出がつゞけられました。
地盤のゆるんだ高台では随所に落盤、崖崩れが続出しました。無残に押しつぶされた家のなかから遺体が次ぎつぎに堀り出されていきます。
こうして東京、神奈川だけでも浸水家屋は十万戸。交通も全く途絶してしまいました。
一方、静岡県中伊豆地方では狩野川がズタズタに決壊、水とドロに押流され二市十数ヶ町村は目をみはる惨状です。
やがて、恐怖の一夜が明けて唖然と見つめる人々の前には、飴のようにまがったレールや打ちのめされた家屋が秋の日射しを浴びて自然の猛威を物語っていました。
次々に運び出されてゆく無数の遺体、亡き肉親を索し求める少年、少年。一家全員死亡するという悲劇も数えきれない程でした。
こうして台風二十二号は東日本に無残な爪痕を残しましたが、天災とはいえ台風日本の現状に根本的な治水対策をのぞみたいものです。
臨時国会の焦点
一〇〇〇億円の巨費を投じてアメリカから買入れるジェット機が、ロッキードからグラマンに変ったいきさつが怪しいという決算委員会では、証人に佐薙航空幕僚長を呼び、田中委員会が、「飛ばない飛行機を買うというのはおかしい、グラマンから金を貰ったのではないか」と激しく追求しました。
当の責任者である国防会議の議長岸首相は、「根拠のないことをあることのようにいう決算委員会のやり方は反対だ」と語調鋭く反ばくしましたが、これを聞いた田中委員会と社会党の委員は、「決算委員会えの挑戦だ、売られた喧嘩は買おう」とかんかんに怒り、田中委員長が首相官邸にどなり込みましたが、その結果はどうなることでしょう。
一方、道徳教育や勤評評定をめぐる反対斗争も、日毎に激しさを加えています。
そして相も変らず警官隊が出勤。しかし問題の解決は権力や警棒にあるのではないようです。
また奈良では、東京、仙台に次いで道徳教育の講習会が、ものものしい武装警官やバリケードに守られながら強行されました。
三泊四日、校長先生たちは缶詰にされたまゝ不自由な日程を終えましたが、場外では二度、三度警官隊との衝突がありました。
警官隊は血に飢えた野良犬のように、逃げまどう学生に襲いかゝり、袋叩きの暴虐です。こうして講習会は終ったものの、勤評をはじめとする一連の教育問題は臨時国会の争点としてクローズアップ。社会党浅沼書記長の質問に“勤評は絶対に実施する”岸首相は鼻息きの荒い気炎でした。
Chunichi news No.246