中日ニュース第229号
一、水かれる
梅雨のシーズンと云うのに連日うだる様な日照りがつづき、早くも真実の到来を思わせる陽気です。
この馬鹿陽気で山梨県にある相模湖もひあがる有様。湖底に沈んでいた昔の地区が再現したり、又ボート屋も水のある所まで梯子をのばすと云う、珍妙な風景を見せています。
一方、愛知県と岐阜県の堺を流れる木曽川の支流も水が渇れ、危険な木造の橋を渡るよりもと自動車は川底を走っています。
然しこの陽気で一番の影響を受けたのが農家の人。千葉県では県下の二十三%の田んぼが、枯れ死寸前と云う悲惨な状態に追込まれています。
目に見えて枯れてゆく苗を目の前にたまりかねた人々は、わずかな水をたよりに井戸掘り。焼石に水とは知り乍らもバケツで水を田んぼに流し込むなど、懸命な努力をつづけています。
又一方、栃木県真岡在の農村では、用水をめぐって上流と下流の地区が争いを起し、流血の惨事にまで発展しそうな雲行となるなど、日照りつづきは多くの問題を残しました。
アジア競技大会第二報
一、健闘讃えて聖火消える
アジア大会五日目からは水上競技が加って大会も最高潮。男子四百メドレーに日本チームが、又男子四百自由型に日本の山中が世界新記録を出しました。
女子も六つの日本新記録を出して、世界的水準へ大きく前進。水上日本の名をはせました。
陸上競技も五月二十九日最終日を迎え、陸上競技の華マラソンが行われました。
三十度の暑さに苦しめられ、選手達はまずトップの韓国林選手につづいて日本の浜村、インドのグルザラ、シンと次々にレース中途で歩き出し、又一着でゴールインした韓国の李もゴールインと同時に昏倒するという劇的なシーンを展開しました。
三十日はホッケーの決勝試合が行われ、三十年間無敗を誇るインドに対しパキスタンがしつように喰いさがり零対零と引き分け、総合成績でインドを破って世界の注目をひきつけました。
こうして六月一日夜、閉会式が華かに行われました。九日間燃えつづけた聖火が消され、代ってたいまつがグランド一杯に火の模様を繰り展げました。つづいて選手退場行進。
蛍の光の大合唱の中で、拍手と歓声をもって別れを惜しむ七万の大観衆。ちぎれんばかりに手をふってそれに答える選手達。この夜の競技場は感動の嵐となってゆれうごきました。
選手達は次回の開催地、ジャカルタで会いましょうと、別れを惜しみながら“限りなき前進”を誓って大会の幕を閉じました。
Chunichi news No.229