中日ニュース第223号
一、休暇闘争へ突入――勤務評定――
勤務評定の実施をめぐる闘争は日ごとにはげしさを増し、十割休暇の指令を出していた東京都教職員組合は二十三日ついに一斉休暇に突入しました。
前日までは歩調を合せて来た都高教祖は、内部事情の複雑さから二十三日朝六時半にいたり一斉休暇の中止指令を出すなど一部の脱落もありましたが、反対運動の主力である小・中学校の先生凡そ三万五千人は都教育庁前に集合気勢を上げました。
おかげで東京都内千四百五十九校中、九七%の小・中学校は全く授業が出来ない有様です。こうした中で、教育委員会側は午前十時から教育庁で会議を開き、全員挙手で可決、即日実施すると云う強気に出、一斉休暇までまきおこした勤評問題も一段落つきましたが、あくまで闘うと云う日教組の今後の出方が注目されます。
一、高まる核実験禁止
四月十六日からひらかれた日本学術会議の第二十六回総会は、原水爆の実験禁止を満場一致で決議し世界の科学書に訴えました。
また時を同じくして国会でも全会一致で核実験の禁止決議案を採択して諸外国の政治家に呼びかけました。
こうして、核実験禁止のアッピールは日毎に高まり東京では今までにない規模の国民大会がひらかれました。こうして、世界の平和と人類の生命をおびやかす者へ、被爆者の激しい抗議が行われたのです。
カメラ・スケッチ
一、三〇万人のお葬式
強固な軍隊組織と強引な折伏(しゃくぶく)で知られた創価学会の教祖として、二百万の信徒の上に君臨した戸田城聖会長の葬式は、四月二十日三十万信徒が土下座して迎える中を軍隊式の行進が行われました。
青山葬式所初まって以来という告別式には岸首相や、松永文相も参列して、生前怪物といわれた戸田会長の政治力をうかがわせましたが、生き仏の教祖が五十八才の若さで死んだことは、信者たちの間に深刻な動揺を招いている。とまれ一般焼香につめかけた貧しい信者たちの一心不乱な姿は、迷える日本の現実でもあるようです。
一、宇宙の神秘をとらえる
快晴に恵まれた四月十九日は、我が国で今世紀最後の金環食の日とあって、全国各地の観測班は一斉に望遠レンズを大空へ向けました。
愛知豊橋にある向山天文台でも観測準備に忙しい折柄、七十四年前に書かれた珍らしい金環食の錦絵が発見されました。
観測当日を迎えた東京では、銀座通りも今日ばかりは観測通りと云ったにぎわい。歩道にもち出した望遠鏡にのぞき込む人、ガラス越しに空を見上げるお巡りさんや通行人と皆んな熱心に観測です。やがて真昼の銀座はまるで夕暮れを思わせる暗さ、やせほそった三日月型の太陽が輝いていました。
一方、金環食ブームに湧く伊豆の八丈島は、この日も観光客がどっとくり込む盛況ぶり、島の方々に陣取った専門家や、アマチュア観測班の準備も終わって、十一時三十七分をさかいに太陽が欠けはじめました。大空を見上げる小学生、負けずにレンズをのぞく坊やとさまざま、又これが見おさめとオジイさん、オバアさんの熱心に観測する姿など見られました。そして一時十八分、ついに月が太陽の中にすっぽり入ると、およそ六分間、さんぜんと輝く黄金のリングとなりました。
Chunichi news No.223