中日ニュース第221号
一、“銀盤の女王”来日
フィギュア・スケートの名手、キャロル・ヘイス嬢ら一行六名が四月四日来日、四月七日から後楽園アイス・パレスで妙技を公開しました。
先ずラディトン夫妻の鮮やかなペア・スケーテングが行われ、つづいて銀盤の女王、キャロル・ヘイス嬢が氷上せましと世界最高の妙技を展開、満員の観衆を魅了しました。
一、ソ連の平和攻勢
花やかなニュースで、次々と世界の話題を奪っているソ連は、三月二十七日、最高会議でブルガーニン氏に代ってフルシチョフ氏を新首相にきめました。
そして、三十一日には、グロムイコ外相が一方的に核実験の停止宣言を行って、平和攻勢においても、完全にアメリカを出し抜きました。
名実ともにソヴエト代表になった精力的なフルシチョフ新首相のもと、ソヴエトの平和攻勢は米英をたじたじとさせているのが今日の世界情勢です。
一、花まつり
桜も満開の四月八日はお花まつり、お釈迦さまの誕生日です。
街では、やっとこの先導で大名行列。しとやかな御殿女中のあとに稚児さんが続き、美しく着飾った春の道中です。
一、日共潜行の聴濤氏帰る
戦後GHQから追放をうけ、去る二十五年の十一月日本を脱出していた共産党の聴濤克巴氏が四月六日の夜まる七年ぶりに帰国しました。
聴濤氏は、初代の産別議長だった人で日本脱出以来、ヨーロッパで活躍していたと伝えられ、今度の帰国は総選挙への立候補も噂されており、空港では出迎えの奥さんや、野坂参三、志賀義雄氏らと固く握手を交わしていました。
一、新入社員
今年も血みどろの就職戦線を突破したサラリーマン一年生が四月一日ぞくぞくと誕生しました。
お役人の登庁第一日目はまず、上は大臣から下は給仕さんに至るまでどうぞ宜敷しくお願いしますとオジギの連続ではじまり、またデパートの売子さんはお客様の応待や包装の練習、銀行員さんはソロバンやら幣勘定が修行の第一歩と、猛練習ですが、もちつけない大金の事とてなかなかむずかしそうです。
四十人に一人と云う難関を突破したスチアーデスの玉子もまずお客へのサービスや、万一の事故に備えての実務訓練。また変った道徳教育を行っている兵庫県のある町工場にも、今年八人の豆工員が就職、朝は軍隊式の点呼から一日の無事を祈る安全鏡に威儀を正して職場入りです。
然し、東京では試験地獄をようやくのがれてほっと一息も束の間のサラリーマン一年生をまた一堂に集めて、新入社員教育、財界のお偉方の講演を聴いて書く感想文が給料にひびくとあっては、まったく行手多難なサラリーマン一年生の門出です。
Chunichi news No.221