中日ニュース第219号
一、ご苦労さま南極越冬隊
隊員たちの努力も空しく、南極の第二次越冬はついに断念のやむなきに至り、観測船宗谷はいま一路故国めざして航行をつづけています。
このフィルムは、宗谷ならびに応援のパート・アイランド号は協力して第二次越冬の実現に努力した時の模様、宗谷の船上で日米合同の対策会議が開かれ、又、越冬資材の輸送と、水の原野につづけられた貴重な記録の一コマです。
そして南極での越冬生活を終え、予備観測の使命を果した西堀越冬隊員が、三月二十四日永田隊長らと一足さきに帰国、この日の羽田空港は松永文相はじめ、隊員の家族や関係者らの出迎えで埋めつくされる有様、盛大な歓迎に応え乍ら西堀さんはなつかしのわが家へ帰って行きました。
一、テレビジョン繁昌記
街頭テレビはさしづめ現代の天井桟敷。大相撲は相変らず大変な人気です。結婚式も飛び出す番組編成には各局がしのぎを削り、明日のスターをめざす若い人達もまず一日三百円也の通行人から一生懸命。
テレビ劇団の募集には豆スター、志願者がどっと押しよせ、つきそいのお母さん達もじっとしていられません。
テレビ・ブームの花形は何といっても技術学校。ラジオ屋のオジサンまでが時世に遅れまいと、イガグリ頭の学生さんと一緒に勉強です、又テレビ・ブームは都会だけではありません。ここ静岡県嵯塚は、わずか十五軒しかない地区ですが、このうち、十三軒までがテレビを持っていると云う豪盛さ、人呼んでテレビ地区と云われています。野良仕事の一服も大相撲春場所の観戦。シイタケをよるにも、テレビを見乍らと云うテレビ・ブームに拾ったお話です。
カメラ・ルポ
一、療養学園の子どもたち
岩手山の麓、盛岡市にあるみどり学園は全国でただ一つの療養学園です。共同募金の寄附金など約五千万円で建てられたこの学園は医療、教育をかねた児童福祉施設のモデルケースとして特に注目され、ここには今七十四人の胸を病む子供達が、規則正しい療養生活を送っています。
ベッドの上の生活は遊びざかりの子供達にとって退屈なものですが、一階の教室では一日三、四時間の教授が行われ、集団生活では特に自分の事は自分でやる習慣がつけられてゆきます。
こうして待ちに待った三月二十五日、すっかり病気もなおった七人の生徒の退園式が行われました。園長さんから健康証という卒業証書を貰って、さすがに嬉しそうな子供達は、やがてお世話になった先生や保母さんに見送られて、いよいよみんなともお別れ。すっかり健康をとりもどした子供達は、希望に小さい胸をはずませながら、まだ浅い北国の学園をあとに、嬉しい家路につきました。
Chunichi news No.219