映像チュウニチニュースダイ217ゴウ V1H2020000019

中日ニュース第217号

撮影年月
1958年(昭和33年)3月頃
コレクション(提供者)
中日ニュース
撮影
発行
中部日本ニュース映画社
製作
中部日本ニュース映画社
配給
時間
8分05秒
米国国立公文書館オリジナル番号
館内限定公開 色彩無 音声有 貸出不可
内容

一、海の底に国道開通――関門トンネル
 下ノ関と門司を結ぶ世界最初の海底国道がこのほど完成し、三月九日岸日本道路公団総裁はじめ、石井副総理らが出席して、開通式が行われました。
 このトンネルは、長さ三千四百六十一メートルで上が車道、下が人道という二階建ての豪華なもので実に二十一年の歳月と八十億の巨費を投じてつくられたものです。
又開通式につづいて,通り初めが行われ、車道には車の列がぞくぞくとつづき、人道には下ノ関、門司双方の子供達が手を取り合う姿など、和やかな風景が見られました。
 そして翌十日からいよいよ、営業が開始され一日で三千三百八台の車がトンネルをくぐりましたが、人道には漏水騒ぎが起きるなど人騒がせな一幕もありました。
 然し、通過料金が高過ぎるなどの不評はありますが、こんごこのトンネルが大いに役立つ事でしょう。
一、日ソ交渉ゆき詰る
 サケ、マスの漁獲高をめぐる日ソ漁業交渉はまったく行き詰りを見せ、交渉にあったていた平塚団長は三月六日帰国、領土問題や平和条約などのからんだこんごの交渉には最早漁業専門家の手には負えぬ旨岸首相に報告しました。
 その結果政府は赤城農相をモスクワに派遣する事を予定したものの、全く明るい見通しのつかないのが現状の様です。
 こうした中に東京はじめ全国各地で漁業団体の集りや、漁民大会が開かれオホーツク海の安全操業をのぞむ漁民の心からの声が結集されていますが、日本の要求する十四万五千トンと、ソビエトが示も八万トンの開きは、余りにも大きく、漁業交渉から平和条約へ対ソ外交は重大な岐路に立っています。
一、危機に立つ近江絹糸
 四年前夏川社長追放の人権斗争で注目された近江絹糸労働組合は、いま繊維産業の不況と経営をめぐる人事の争いからふたたび危機におちいり、組合もついに分裂日毎に深刻になって来ました。
 本部派の拠点である彦根工場では、仕事を失った組合員たちがナワトビやバレーボールで毎日すごしている始末。又、本部派を離れて行った組合員たちは再建派と名乗って操業を行っている大垣工場へ集っています。
 こうした折から本部派は全織同盟の幹部を招いて臨時大会を開くなど、組合の統一を目指して活発に動いていますが、この問題の解決はなかなかむずかしい様です。
カメラ・ルポ
一、ハイティーンまかり通る
 春の日射しを浴びて郊外を突走るオープンカーなど、我がもの顔にスピードとスリルを楽しむ若もの達が、目立つ様になったこの頃、満員のスケートリンクも相変わらずハイテインの天下、一日四千人の入場者のうち半数以上をしめる十代のお客さん達でひしめいています。
 一方いま人気絶頂のロカビリーは、十代の人達にとって最大のみ力の一つ、今日も会場は黄色い声をはりあげる若いファンで超満員です。
 最高潮ともなればまた大変な騒ぎ、舞台にかけあがって好きな歌手のうばい合いからはては花束ならぬキッスの雨を浴びせるなどまるで正気の沙汰とも思えぬ乱ちき騒ぎをまき起す始末、戦後マンボからロックンそしていま又、ロカビリーと、より強い刺激を求める若い世代の心理の一端を見せている様です。

原文

Chunichi news No.217