中日ニュース第196号
一、秋から冬へ
例年にない暖冬異変に見舞われたソビエトでは、セリゲイ湖の美しい自然の中で若者たちが秋の名残りを楽しみ、カルパチア山脈の渓流では、名物の筏流しが、深みゆく秋を告げています。
さて、日本の秋も北から足早に深まり、十八日にはシベリアからの寒波に見舞われ二十日も早い初雪をみた十和田湖畔では、湯治のお客さんたちがふるえ上っていましたが、かき入れ時を迎えた旅館では蔵の中からスキーをとり出し手ぐすねひいています。
同じ十八日北海道は記録破りの吹雪きに見舞われるなど、冬将軍が駆け足でやってきました。
一、“宗谷”ふたたび壮途へ
十月三十一日、本観測を目指し再び南極へ船出する“宗谷”の壮行会が行われました。日の出桟橋を埋めた一万人の人々の歓呼の中を、五十人の隊員と八十人の乗組員は午後一時三十分“宗谷”に乗り込み、十一名の越冬隊員が首を長くして待つ昭和基地を目指し、晴れの壮途につきました。
カメラ・ルポ
一、風にそよぐ売春法
来年四月から、処罰規定の実施される売春禁止法を前に、赤線から青線にもぐった売春のカラクリは次第に組織化され、度々の狩込みにも一向におとろえをみせません。
こうした折から、十月十九日、全国から高検、地検、の検事さん六十名が法務省に集り、唐沢法務大臣も出席して、取締りの強化にのり出すことになりました。
斯くて、東京三谷の旅館街では、社会評論家の神崎清氏を招いて相談、その結果、軒並に貼紙を出して売春婦の連込みを断ることになりました。
こうした町の強力もあって、婦人相談所には遠く熱海や伊東の観光地から、前借のクビキをのがれて救いを求める女たちが増えてきました。
然し、狭い就職の道に阻まれて夜の女の更生は、複雑な問題を投げかけています。
こうしたなかで、全国性病予防自治会が同法案のモミ消に多額の金を政界にバラまいた事実が明るみに出され、東京地検の手で十月十二日、全性連理事長鈴木明氏を逮捕、その結果、二、三の代議士が捜査線上に浮んできましたが、臨時国会を目前に控え、与えられた条件のなかで、厳正な捜査が望まれています。
Chunichi news No.196