焼け跡で生まれた赤ちゃん 小さな鍋/釜で 皆で手分けして沸(わ)かした初湯(うぶゆ) 純白の肌着(はだぎ)にくるまれた 赤ちゃんの小さな寝息 炎の中で 必死に離さなかった 荷物 今/ホヤホヤのお母さんが笑った みんなが笑った 大声で笑った 焼け跡のバラックの中 『赤い涙-東京大空襲・死と生の記憶-』p.103