少女が落していった人形 校舎に入ろうと押しかける群衆 両手を広げ 制止する用務員の老夫婦 やがて町も空気もまっ赤な炎の色に染(そ)まる 家政(かせい)女学校/中村(なかむら)女学校が燃える 群衆が去った 無人(むじん)の舗(ほ)道に 少女の落していった人形が泣く 『赤い涙-東京大空襲・死と生の記憶-』p.30