泣き叫ぶ少女の声が聞こえる 地下壕(ごう)の中に 一人残された少女 固く閉(と)ざされた扉のすき間から炎がのぞく 外は荒(すさ)ぶる火風/頭上で土の焼ける音 薄(うす)れる空気 息苦しい呼吸 迫りくる死の影 耐(た)えられぬ恐怖に大声で泣き叫ぶ 『赤い涙-東京大空襲・死と生の記憶-』p.35